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「働き方」という経営問題―The Future of Work―

デジタルによる新しい働き方は
効率だけでなく、稼ぐ力も強化する

――アダム・ワービー アバナードCEOに聞く

ダイヤモンドIT&ビジネス
【第23回】 2015年6月26日
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――乗客を安全に目的地まで運ぶことが主な仕事だった客室乗務員が、航空会社のメインの商品である「客席販売」の最前線にも立つことになったということですね。

 そうです。情報のリアルタイム共有が顧客サービスを改善すると同時に、企業にとって新しい「収益のチャンス」を生み出すことに成功したのです。この例のように、「デジタルによる新しい働き方」とは、単に既存の業務を改善するだけでなく、従業員の役割そのものを変えるパワーもあるのです。

新しいワークスタイルによる
「変化を管理する」こと

――デジタルデバイスはワーカーの道具としてだけでなく、消費者の情報ツールとしてもフル活用されています。強力なデバイスを持っている消費者に対して、企業側の情報武装は追いついているのでしょうか。

 デバイス多様化の問題は、それほど重要ではないと思います。企業は、消費者が複数端末を使い分けるのは当然のこととして考えなければいけないからです。

 私がアバナードに移ったころ、マイクロソフトのビジネスの対象は、当時世界で年間約3億台程度販売されていたPCだけでした。しかし今日では、PCに加えてタブレット、スマートフォンなどが、合計で年間約10億台販売されています。そしてそれによって、全く新しいカテゴリーのワーカーと、働き方が登場しています。

 例えば最近スペインでパイロット版を開発した医療分野の例です。手術後の経過観察は、患者さんにわざわざ通院してもらって確認するだけでなく、患者が身につけたセンサーからの情報を医師に送ることで、正しいリハビリを行っているかを遠隔地からでもリアルタイムにチェックできるようになりました。こうした例はどんどん増えてくるでしょう。

――無数のデバイスがネットでつながるIoTの時代に、企業が情報システムを構築していくうえで重視すべきことは何でしょうか。

 顧客企業の幹部の皆さんと議論するときに、この話題になることが増えています。私は、3つの方針をお話ししています。

 まず1つ目は、ビジョンとフォーカスを持つこと。デルタ航空が客室乗務員の働き方に焦点を当てたように、ビジネスの課題に対して効果的で明確なターゲットを設定することがとても大事です。

 2つ目はテクノロジーではなく、ユーザーの体験を中心に設計することです。そのためにアバナードではユーザーインターフェース(UI)専門のデザイナーが多数所属しています。

 そして3つ目ですが、こうした新しいテクノロジーによる働き方の変化を、経営者が正しく管理することが必要です。「変化を管理する」というのは、デルタ航空の例のように、新しいビジネスチャンスを評価することと共に、従業員が従来とは異なる業務や貢献をした場合、それをどう評価するのか、ということも関わってきます。

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人口減少による働き手の不足と経済・社会のグローバル化が、企業経営を取りまく大問題となっている。そのなかで、企業が競争優位性を築くためのキーワードとして浮上しているのが「ワークスタイル変革」だ。識者への取材や企業事例の紹介を通じて、すべての企業と働く人に問われている「働き方」の課題を明らかにしていく。

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