桜修館中等教育学校
思考力を鍛える
独自の「論理学習」

 東京都内には現在11の公立中高一貫校があるが、城南地区では桜修館中等教育学校のみ。世田谷、品川、大田の3区からの受験者が多く、2015年入試の実質倍率は6・76倍という狭き門だった。

 06年4月に都立大学(現・首都大学東京)付属高校を改編して生まれた桜修館は、今年が開校からちょうど10年目。1期生、2期生からいずれも4人の東京大学現役合格者を出したこともあり、8期生からは難関私立中との併願者が増えた。

 1学年160人の比較的こぢんまりとした学校で、高校からの入学もない。このため「学年ごとの団結力が強く、上の学年には負けないぞという意識もある。生徒同士で勉強を教え合っている姿もよく見掛けます」と金田喜明校長。

 その桜修館の特徴としてよく知られるのが、「論理学習」だ。中学1~3年では、国語と数学で論理学習に特化した授業があり、国語では論文作成やディベートなどを通じて、数学では図形やパズルなどを多用したオリジナル教材を使って、論理的思考力の育成を図っている。

 論理学習の授業は通常、2時間連続で行われ、国語では1時間目で調べて、2時間目で発表するというパターンが多い。取材当日は中学2年生が、1時間目に新聞を読んで記者や新聞社の主張を探すグループ学習、2時間目には班ごとに意見をまとめて自分たちの主張をつくり、発表するという授業を行っていた。

 各学年で論文を書かせるのも、同校の特徴の一つ。1年目では自分の意見を1600字程度でまとめるところからスタートし、2年目は調査活動を基にして意見をまとめるなど徐々にステップアップしていき、集大成として高校2年の段階で5000字程度の論文を書く。高校1年の後半から取り掛かり、自分でテーマを決めて、仮説の立案・検証を行い、考察結果を加える。生徒5人に1人の担当教員が付き、中間発表を経て1年がかりで論文を仕上げる。

 自分で取材に行ったり、アンケート調査を実施したりする生徒もいるが、高校生になると全て授業以外の時間で自主的に調べて書かなくてはならないので、時間管理能力も必要となる。

 国語、数学以外の教科でも発表やグループ学習を通じて、生徒に自主的に考えさせる教育に力を入れる一方、基本的な知識を身に付けさせるための宿題や小テストも多い。このため、放課後に部活動をやっている生徒は塾に行っている暇はないほどだ。 ちなみに中学段階では9割超、高校段階でも8割の生徒が部活動に所属している。

 15年入試では40人が国公立大学に現役合格した。指定校推薦で生徒が入る私立大学は早稲田・慶應クラスまで。他の生徒は全て第1志望で国公立大を目指す。

 論理学習の成果として、記述式の2次試験に強い生徒は多いが、選択式の大学入試センター試験での取りこぼしが多いのが課題。そこで、春・夏・冬の長期休暇期間中の補習・講習を強化している。

 年2回の志望校検討会を通じて教員は160人の生徒全員の志望校や学力を把握しており、生徒一人一人の学力状況に応じて補習・講習で弱点を補強させている。来春の入試は、国公立大現役合格50人が目標だ。