2520億円あれば
冥王星まで3回行ける

 まずは質問。2520億円をあなたは運ぶことができるだろうか?1997年に公開された渡哲也主演の映画「誘拐」は3億円の札束で、その重さを利用して、殺人を繰り返すというストーリーとなっている。3億円は何キロになるのか。1万円札1枚は1グラムなので、30キロである。30キロの紙幣の塊を前にしたら、恐らくは財布の中の1万円札の持つ迫力が、ずいぶんと薄らいだ気がするはずだ。

 ちなみに、この3億円というのは、企業で働く大卒男性の生涯賃金3億1810万円(2012年 退職金と再雇用時の給料を含む)とほぼ同額。一生、馬車馬のように働いた報酬は1万円札で30キロちょいなのだ。2520億円は生涯賃金の792倍。その重量は2万5200キロ、つまり25トンと200キロとなる。

 現在、多くの人が持っている自動車免許には「中型車は中型車(8t)に限る」と注意書きされているが、この免許で運転できるトラックの最大積載量は5トン。5トン積みトラック5台に目一杯1万円札を裸で積み上げて、隣に相撲取りをひと回り大きくした200キロが残されている、そんな量だ。ちなみに日本では車両総重量(積載量と自動車の重量と乗員の体重を総計)が25トンまでしか認められていないので、2520億円を一度に運べるトラックは存在しない。

 少しずつ怒りが湧いてきた。

 1930年の発見から、長らく謎とされてきた冥王星の姿を見るために、9年掛けて7月15日に最接近に成功した米NASAのニューホライズンズの場合、打ち上げ費用は、ロケット製造費、施設利用費、装置開発経費及びミッション全体の人件費を含み、約7億ドル(約861億円)とされている。2520億円あれば3回くらい冥王星を見に行くことができる計算だ。

 人類史上はじめて地球の重力圏外にある天体に着陸して帰還したはやぶさは210億円。こっちならば、きっかり12回、小惑星探査ができることになるので、宇宙誕生の秘密を解き明かす大発見の可能性が高くなる。

 また、2520億円あれば買える会社もたくさんある。東京証券取引所に上場している企業3487社のなかで時価総額2520億円以下は、驚くなかれ、3081社。9割近くは完全に買い取ることができるのである。そこには伊藤園やハウス食品グループ本社、サッポロホールディングス、テレビ朝日ホールディングスなど、名の知れた企業も数多くある。