認知症ケアに
力を入れている京都

 市町村レベルでも認知症ケアに力を入れているところは、カフェの開設に前向きだ。その代表例が京都府の宇治市。

定期的に認知症カフェを開く宇治市

「れもんカフェ」と名付けた認知症カフェを市内の地域福祉センターやカフェなどで定期的に開く。この4月から9月までに16回を予定している。同市の初期認知症総合支援事業と位置付けて、市内の府立洛南病院の協力を仰いで、福祉サービス公社に運営を委託して開催。

 もともと、洛南病院の医師、森俊夫さんが、若年認知症の人向けのサービスがなかったので、テニス教室を開いたのが運動の始まりだった。「認知症は緩やかに進行するもので、初期には仕事や生活がかなり普通にできる。だが、相当に深刻な状態になったケースが語られがち。認知症と診断されても暮らし続けることができるということを伝えていきたい」と森さん。

 京都には、もうひとつ、認知症カフェの先駆的な事例がある。京都市の御所の西側。3階建ての住宅の一階が「まちの縁側・とねりこの家」と記されている。10年ほど前に開設されたコミュニティカフェである。

 保健師の水無瀬文子さんが「年老いても、障害があっても、子どもたちも、みんなが集える場所。昔の縁側のようにのんびり世間話ができるような居場所にしたい」という思いで開いた。

 多世代交流の場であり、子育て支援の場として知られている。それが、日曜日になると、一変。認知症カフェ「オレンジカフェ今出川」に変身してしまう。京都大学医学部付属病院「もの忘れ外来」の医師、武地一さんが主宰する。認知症の本人や介護者、支援者などが訪れる。

 実は、京都府は、認知症への取り組みが全国的にも早かった。認知症の団体として大きな影響力を持つ公益社団法人「認知症の人と家族の会」(高見国生代表理事)が結成されたのは35年も前の1980年であるが、本部は京都市にある。京都市民の中から、認知症家族の団体作りの声が挙がり、各都府県に1つずつ団体が増えていき、今では全都道府県に及んでいる。

 認知症の人と家族の会は、それぞれの地方組織で独自の活動を展開している。認知症カフェの先取りと言える「つどい」と呼ぶ集まりを定期的に開いているところが多い。自宅での認知症ケアは家族にとって心身の負担は大きい。抱える家庭の事情は違ってはいても、互いの実情を話し、聞くことで気持ちは相当和らぐ。

 全国で広がりつつある認知症カフェだが、介護者家族の集まりがそのスタートとなっているところが多い。全国団体の「認知症の人と家族の会」だけでなく、地域の中で自主的な会合を重ね、それがより開かれた形としてカフェになるケースも。