社内プレゼンはビジネスパーソン必須のスキル。ところが、多くの人が苦手ではないでしょうか?何度も却下されたり、差し戻しにあったり……。そこで、ソフトバンクで孫正義氏から「一発OK」を何度も勝ち取った著者が、秘伝の『社内プレゼンの資料作成術』を全公開。シンプルな資料で100%の説得力を生む、「超」実践的なノウハウをお伝えします!
社内プレゼンは「3分」で終わらせる
社内プレゼンをするうえで、最も大切なことは何か?
決裁者の立場に立って考えることです。提案内容を、彼らが理解しやすく、納得できるように伝えるためには、どうすればいいか? それを、徹底的に考えるのです。そして、そのために必要なことだけやり、その妨げになることはやらない。これが、社内プレゼンの最重要ポイントです。
では、決裁者にとって最も迷惑なことは何でしょうか?
ムダに時間を奪うことです。決裁者はとにかく忙しい。しかも、限られた会議時間のなかで次々と意思決定をしなければなりません。だから、彼らは、ダラダラと要領を得ないプレゼンを最も嫌うのです。
そのため、社内プレゼンは3分で終わらせるのが基本。長くても5分以内で終わらせます。どんな案件でも、3~5分あれば、提案の骨子を説得力をもって伝えることは可能です。むしろ、その時間内に収められないのは、提案のポイントが十分に整理できていない証拠だと考えるべきです。
もちろん、プレゼン終了後、決裁者から質問が飛んで、補足説明をする必要が生じることもあります。あるいは、提案の是非をめぐって議論が始まることもあるでしょう。この時間は、「3~5分」には含めません。
ときには、プレゼン後の議論が長時間に及ぶこともありますが、それは問題ありません。むしろ、ここで議論が深まるのは、決裁者の意思決定の質を高めるためにも有意義と言えるでしょう。その時間を確保するためにも、プレゼン自体は3~5分で簡潔に終わらせるべきなのです。
では、そのためには、どうすればいいのでしょうか?
簡単です。プレゼン資料のスライド数を絞り込むことです。
なかには、「あれも伝えなければ、これも伝えなければ……」と20枚も30枚もスライドを用意する人もいますが、それではとても3~5分でプレゼンを終えることはできません。プレゼンは、資料に沿って進めるものです。いわば、資料はプレゼンのシナリオ。このシナリオの分量が多ければ、自然とプレゼンは長くなってしまいます。逆に、簡潔なシナリオをつくれば、それだけで確実にプレゼンは短くなるのです。
だから、プレゼン資料は5~9枚にまとめなければなりません。
この「5~9枚」には、表紙や目次、ブリッジ・スライドは含みません。本編スライドだけで5~9枚に収めればOK。この制約を意識して、伝える内容を絞り込めば、必ず3~5分でプレゼンを終えることができます。
「5~9枚」を超えると、急にわかりにくくなる
スライドを5~9枚にまとめるのは、プレゼンを短くする効果があるだけではありません。さらに重要な意味があります。スライドの枚数が5~9枚を超えると、とたんによくわからないプレゼンになるのです。
この法則は、アメリカの認知心理学者であるジョージ・ミラーが提唱した「マジカル・ナンバー」に基づくものです。ミラーは、人間が瞬間的に記憶できる情報量の限界は「7±2」であることを発見。この「7±2」をマジカル・ナンバーと名づけたのです。
マジカル・ナンバーは、至るところで活用されています。例えば、電話番号は「○○○‐○○○‐○○○○」と区切って表記されますが、それは「○○○○○○○○○○」と表記すると数字を把握できないからです。ハイフンによって、1つの情報の塊を「7±2」に収まるようにしているのです。
社内プレゼンも同じです。スライドの数が「7±2」を超えると、決裁者はプレゼンの内容を理解することが難しくなります。提案者は、何度も提案内容について検討してきていますから、20~30枚のスライドでも正確に内容を把握できるでしょう。しかし、決裁者にとっては、はじめて接する情報です。どんなに優秀な人物でも、スライドの枚数が「7±2」を超えると、その場でプレゼンの内容を理解することができなくなってしまうのです。
だから、スライドは5~9枚でまとめるようにしてください。それが、「一発承認」を勝ち取る絶対法則なのです。
ただし、5~9枚に収めるために、1枚のスライドに無理やり情報を詰め込むのはNGです。たとえば、1枚のスライドにグラフを2つ載せると、そのスライドの内容を理解するのが難しくなります。1枚1枚のスライドもシンプルにするのが鉄則。ですから、そのような場合には、スライドの枚数を増やして、1枚のスライドに1つのグラフを載せるようにして構いません。
まずは、5~9枚をめざして情報を絞り込む。それでも、どうしても収まり切らない場合には、スライドを追加するようにしてください。
(本稿は、『社内プレゼンの資料作成術』より一部を抜粋・編集したものです)