失敗を歓迎できるという学習効果

 次なる学習効果は、失敗を歓迎できるという学習効果です。

 1枚目の名刺の整った組織の中で仕事をしている場合、簡単に失敗をすることができないのではないでしょうか。組織が整備されればされるほど、業務は細分化・専門化して、失敗への対策が講じられていきます。

 そのように整備された業務で失敗することは、お客様に迷惑をかけることになります。そればかりでなく、複雑性を増す業務の関係性の中で、多くの関係部門にも迷惑をかけてしまいます。そんな状況では、失敗すると厳しく叱責されることになりますし、なんとしても失敗を避けようという気持ちになることでしょう。

 ところがパラレルキャリアでは多くの場合、むしろ失敗が歓迎される構造になっているのです。パラレルキャリアで何かの社会課題を解決したいと考える時、それに取り組む組織やチームは整ったものではありません。また、課題をどう解決すればいいのか、アイデアをゼロベースで積み上げていかなくてはなりません。

 つまり、なにもかもがゼロベースからの立ち上げになるわけです。そのような状況では、とにかくたくさんのアイデアを試して、その失敗から学び、改善を続けていくことになります。失敗するのは当たり前で、むしろどんどん失敗することが求められます。

失敗を歓迎できるという気持ちがデザイン思考を促す

 失敗が当たり前になり、失敗を歓迎することができる気持ち。実はこうした気持ちは、デザイン思考を促すことに役立ちます。

 デザイン思考を簡単に説明すると、まさにゼロベースからアイデアを紡ぎだすための思考の方法論です。イノベーションを起こして画期的な新製品や新サービスを生み出すためには欠かせない考え方とされ、注目が集まっています。