地位や肩書抜きで、対話を楽しむ。これは、実は意外に難しいことなのかもしれません。日本のビジネス社会で厳しい競争にさらされていると、所属している組織で成功することが価値観の中心になってしまいがちです。
所属している組織で成功することが価値観の中心になると、1枚目の名刺の肩書が気になってしまうようです。
新しい人と会うと名刺交換して、その人がどんな地位や肩書の人か把握できないと落ち着かない……。なぜなら、それを把握できないと、その人に対してどう接していいかわからないから。
こんな気持ちになってしまったことはないでしょうか。しかし、そもそもパラレルキャリアの対話の場では名刺交換があるとは限りません。また2枚目の名刺を交換するとき、そこに書いてある地位や肩書はそんなに気にしないのではないでしょうか。むしろ、そこに記されている活動の内容に関心があるのではないでしょうか。
多様性と曖昧さに慣れると、精神的にラクになる
パラレルキャリアによって2枚目の名刺を持つ人と多く接していると、次第に1枚目の名刺の地位や肩書の意味が自分の中で小さくなっていくことに気がつきます。人生の中で、1枚目の名刺の地位や肩書だけに大きな意味があると感じるなら、その成否、勝ち負けに関して、一喜一憂することになりますし、精神的にも負担になるでしょう。
しかし、2枚目の名刺の世界では、地位や肩書で組織内の位置づけがはっきりしているわけではなく、曖昧です。ひとつの組織のメンバーとは異なり、各人が持つ価値観も曖昧です。そんな多様さと曖昧さを受け入れられるようになると、仮に1枚目の名刺の世界でなにか失敗しても、人生それで終わりではないと精神的にラクになります。
こうした状態が、メンタルタフネスやレジリエンス(精神的な回復力)につながります。