だから自民党の勉強会の場で、権力者が「俺たちに批判的な新聞は潰せ」と言ってしまうことは、バランス感覚を欠いた人たちで、憲法とは何か、立憲主義とは何かも知らない無知な政治家だ。我々国民の側は言論の自由を行使する「権利」を持っており、権力の側は言論の自由を守る「義務」を負っている。憲法の内容に不満があっても、立憲主義は絶対に守らなければならないもの。自民党はバランス感覚を失しており、政治は劣化している。

 なぜ劣化したのかと言えば、ネットの影響がものすごく大きい。簡単に情報を仕入れて、何か知った気になる。ネットに載った情報を鵜呑みにして、安倍首相の秘書がネットに書いてあることをそのままフェイスブックに書いて、当事者から抗議されたこともあった。ネットに影響されているのは若い世代だけではなく、自民党議員も同じ。

 ネットの情報は、嘘、インチキだらけなのに、確認もせずそのまま信じる人間がいる。沖縄の新聞を読んだこともないのに、「沖縄の新聞を潰せ」と言う。一部の人が劣化してオジサン的な暴言を吐くと思われているが、それは違う。いまや知識人から政権にいる政治家までもが、真偽が定かではないデタラメな情報によって、暴言を吐いているという状態だ。

日中・日韓関係を何とかせよ
従米から脱し本当の主権回復を

――歴史認識を巡る中国、韓国との対立は、和解とはいかなくても、果たして何とかなるのでしょうか。

 これ、絶対に何とかしなければいけない話で、最終的には戦争すればいいとう話ではない。商業的な観点で見て売れるからと言って、反中、反韓感情ばかりを煽る今の状態は全く健全ではない。

 もちろん、韓国においても、中国においても、時の政権が生き残るために自国のナショナリズムを煽り、反日カードを自国内に向かって使う、つまり、国内の政治問題にするという側面はある。そうだとしても、韓国は日本に併合され、中国は日本に侵略されて、いたくプライドが傷ついているということも、同時に認めなければならない。

 たとえば、イギリスのように自国から遠い場所にあるアフリカの現地に指導者を立てて、搾取する間接統治の方式ならば、それほど恨みが残らなかったと思う。ところが日本と中国、韓国は、近接した地域であり、文化もかなり入ってきたりして、お互いに影響しあってきた。そういう国を併合したり、侵略したりすると、近親憎悪的に恨みが残る。しかも日本は直接統治してしまったから、中国や韓国の人にとってみたら、より一層屈辱的に感じるだろう。