商品価格変動の家計に与える影響をもう少し分かりやすくしてみよう。下のグラフは、総務省の家計調査による1世帯当たり(2人以上世帯)の1ヵ月の消費支出(実収入から保険料などの非消費支出を引いたもの)で、主要項目内訳を示したものだ。月によって変動があるため、今年1月~6月までの平均を使っているが、消費支出は実収入の約60%を占めている。

 その中でのシェアを比較すると、交際費や諸雑費などの「その他の消費支出」を除くと、消費支出に占める比率が高いのは食料で、次いで光熱・水道代、交通・通信と続く。交通は自動車など関係費が大半を占めておりこの中にはガソリン代も含まれている。つまり、消費支出のシェア上位には、市場性のある項目が多く、国際市場価格の変動に個人消費の動向がさらされやすいことを意味している。

出所:総務省

エネルギー価格下落の
家計への影響は大きいが…

 食料でもその製造過程にエネルギーを使用し、加工食品などはそのパッケージが石油から作られる化学製品であったりする。従って、最も家計に影響を与えるのはエネルギーであることはほぼ間違いがない。足元のエネルギー価格の下落は家計にとっては慈雨となるはずだ。

 この傾向は消費者物価指数でも確認可能で、2015年6月のCPIの項目別の前年比上昇率を見てみると、食料が前年比+2.5%(ウェイト2525)(*)と上昇しているのを、光熱費・水道▲3.1%(704)、交通・通信▲2.%(1421)などのエネルギー価格の下落が相殺していることがうかがえる。

 一方で、2015年1~6月期の光熱費の平均は2万6727円と前年から572円増加、ガソリン代を含む自動車維持費は1万9983円と▲981円の減少となっている。これは両者の原油価格の下落反映までの時間差の違いによるものと考えられる(「原油下落でも電気・ガス料金が下がらない理由」参照)。電気代・ガス代は現在下落基調にあり、この下落メリットを実感できるようになるのは今後ということになろう。

 ただし、この価格下落も恒常的なものではない。現在下落している原油価格が反発する可能性は十分あるし、原油価格が上がらなくても中国の人民元切り下げに対抗して日本が追加緩和を実施、さらなる円安の進行で円建てのエネルギー価格が上昇してコスト増加に繋がる可能性がある。エネルギー価格動向には今後も注視が必要である。

*ウェイト:消費者物価指数(CPI)の算出で用いられる、品目ごとの支出割合。計10000。食料の場合で言えば家計消費支出に占める割合が10000分の2525であることを示す。