その間に、移動式発電機と電動注入ポンプをつなぎ込み、格納容器への注水を準備するのにさらに30分かかり、約52分後に注水開始になるとしています。
 このとき原子力規制庁の役人でさえ、「原子炉の炉心溶融を止める、あるいは遅らせるという努力を一切せずに放置するのか」と尋ねて、問題視していますが、九州電力の社長は、「炉心溶融を止める手段は一切ない」と答えています。

広瀬 九電の社長がヒアリングを受けて堂々と「炉心溶融を止める手段は一切ない」と言っている。信じられないが、これは正直な事実の告白です。
 加えて、その時に格納容器に水をためて、灼熱の金属の塊を受けると言っている。たちまち火山と同じ水蒸気爆発が起こることは子どもでもわかるのに。
 なぜこれほど重大なことを、新聞やテレビが報じないのかと腹が立ちます。そんなデタラメ対策なのに、なぜ基準に適合するのか、理解できる人はいません。

住民避難に関与しない
無責任すぎる!原子力規制委員会

田中 さらに重要なことは、深層防護の第5層の住民避難、つまり防災対策には原子力規制委員会は関与しない、規制対象外だ、と明言しています。

広瀬ヒドイ話だ。大事故は起きると認めながら、起きた後、俺は知らないなんて。

田中 原子力規制委員会のホームページに、IAEAの5層の話が一切触れられていないのは、そもそも5層、つまり住民避難対策、防災対策を放棄しているからです。彼らは、大事故の責任から逃げまくっています。
 田中俊一・原子力規制委員会委員長が、第5層の避難計画に原子力規制委員会は関与しない、と明言しているのは、自分たちは責任者ではないと言いたいからです。

広瀬卑怯な態度ですね。国会事故調で黒川清委員長が強調していたのは、「アメリカの場合、国民の健康をいかに守るかが最初に出てくる。国民の健康を第一に考えるような法律をつくっていく必要がある」と言っていましたよね。しかし、原子力規制委員会は見事にそれを裏切って、住民の安全確保には一切関与しない。