──延長期間として認める「20年」にも、科学的根拠はないのか?

クライン ない。これも保守的な数字だ。NRCは、40年以降継続的に稼働させていくに当たっての安全上のポイントを見る。60年くらいまでは安全に運転できるだろうと、59年目で急に壊れることはないだろうと、判断する。NRCは、個々の機器や設備の状態がどうなっているか、この先も安全に稼働させることができるのかといったことを見ており、これは科学的な見地からの審査だ。

バレット 今から25年くらい前のことだが、最初の世代の原発が20~30年の稼働経過となってきて、事業者側としては当初40年で許可を得たものの、それ以降どうしようかと検討することになった。40年を超えて稼働することが社会的にも適切だし、電力供給もできるということで、20年分の安全を確保した上で延長するという申請が出てきた。NRCがそれを科学的に審査し、合否を判定してきた。今は、費用便益を勘案しながら60年を超えて80年という可能性が探求され始めている。

“原発ゴミ”の最終処分は政治問題
核燃料サイクルは経済性以外の視点も

──使用済核燃料の再処理や、高レベル放射性廃棄物の中間貯蔵・最終処分に関する問題は、世界的にも大きな関心事項の一つだ。米国では使用済核燃料の再処理は行わず、全て直接処分を行っていくとのことだが、それに対する米国民の反応や姿勢はどのようなものか。

クライン 全く気にしていない人もあれば、それを口実に原発閉鎖を叫ぶ人もいる。ほとんどの人は、使用済核燃料が現実に安全に保管されていると受け止めている。米国の最終処分場として計画されているユッカマウンテンに係る認可手続は、技術的な問題ではなく、政治的な問題で保留になっている。オバマ大統領が選挙期間中に、ユッカマウンテンでは最終処分はやらないと公約した。日本では、数百年の幅で乾式キャスクを使った貯蔵で安全にやっていけるだろう。安全の問題ではなく、政治の問題だ。

バレット 私は10年間もユッカマウンテンの件に携わっていた。科学的技術的な部分は1割で、政治的感情的な部分が9割だった。米国では、最終処分問題は原発反対の口実に使われている。日本も同じ状況に見える。

──日本では、使用済燃料の再処理によるリサイクル(核燃料サイクル)を進めようとしているが、これはどうか。

クライン 昨今ではウラン価格が安いので、核燃料リサイクルを行っても、経済的には合わない。しかし、政策的に必要ならば経済的に合わずとも行われる。それはそれで良い。フランスは現に行っている。ロシアや中国は今後行うだろうし、日本も今後行うようになるだろう。核燃料サイクルは、経済的な視点だけではなく、包括的な視点で行われるものだ。ただやはり、ウラン価格が低迷しているうちは、核燃料サイクルは進みにくいと思う。