オリンピックとパラリンピックを融合することの最大のメリットは、障害者競技に対する関心を高め、障害者競技中継の視聴率アップにつながることだ。なぜなら、いまだに差別との戦いである障害者支援において、この差別をなくすために最も重要なことは、「見る」ことだからだ。

 皆さんよくご存知の映画監督 ジョージ・ルーカスの妻で、アメリカでは有名な投資会社役員であるメロディ・ホブソンは、2014年に開かれたTED Talkのなかで、人種差別問題についてスピーチしている(ちなみに、メロディは黒人)。アメリカには「カラーブラインド(collar blind)」という言葉があり、これは肌の色を見ないようにするということだが、メロディはこれは危険な考え方で、差別をなくすには肌の色を見ない(目をつぶる)のではなく、「カラーブレイブ(collar brave)」、つまり肌の色を直視する勇気だと主張する。

 この「直視する」という考え方は、障害者差別に対しても同様だ。障害者を見ない、(別の場所に置いて)見えなくするのではなく、勇気を持って直視する。さきほど触れた、「オリンピックとパラリンピックの融合」という点で言えば、男子競技や女子競技と同列に障害者競技を扱い、多くの人に見る機会を与える、ということになる。

 差別とは、結局はマインドセットの問題だが、オリンピックで盲目のランナーや車椅子のアスリートが頑張っている姿を見れば、彼らに対して憐れみではなく、共感の感情がきっと生まれるだろう。スポーツにはそのような、人の気持ちやマインドセットを変える力がある。それこそがまさに、オリンピックで掲げるべき「スポーツには世界や未来を変える力がある」というテーマではないのか。そのためにも、オリンピックとパラリンピックは融合すべきだと僕は強く主張したい。2020年の東京大会こそ、その「融合」にふさわしい大会だと思う。


【筆者コメント】
近年、障害の「害」をひらがなで表記することが多くなっていますが、視覚障害のある方に向けた音声ブラウザやスクリーンリーダーを使用した場合、「障がい」という表記は、「さわりがい」と読み上げることがある、との情報を障害者支援団体の方から頂戴しています。そのため、当記事では「障害」という表記で統一させていただきました。