しかし、こうした波も、団塊世代効果が一服する中、弱まっており、今後は非正規雇用の中でも労働時間のより短い層のウェイトが高まりそうだ。

 次に、有配偶女性についてであるが、非労働力化した有配偶女性、専業主婦の多くは今後、仮に働くとしても短時間労働を望むとみられる。

(出所)総務省「労働力調査」

 実際に、すでに非正規労働者として就業している有配偶女性についても正規労働を望むものはたった7%と非常に少なく(図表7)、非正規労働者として就労している理由について家庭との両立が可能であることを挙げている。働いている有配偶女性でも家庭との両立を前提に短時間勤務を望み、夫の扶養の範囲内である103万円や130万円の壁の内に就労を制限している人が多いのである。

 いわんや、現在非労動力化している有配偶女性といったところで、こうした女性をうまく就業に結びつけることができたとしても、短時間労働になる可能性が高いだろう。

 さらに、すでに働いている女性パート労働者でも今後一段と労働時間が短縮される懸念がある。来年10月に大企業で実施される厚生年金や健康保険の短時間労働者への対象拡大により、これまで社会保険上の扶養範囲である130万円以下に就労調整してきた人の多くが106万円以下に調整するようになるとみられ、これも労働時間短縮につながる。

現状のままでは消費回復は望み薄
税・社会保障の改革や生産性向上が不可欠

 もちろん、すでに均衡失業率水準に低下している労働市場に鑑みれば、雇用増加が労働市場の逼迫を強めることで賃金が上昇する可能性は十分にある。しかし、それも雇用増加がより短時間のパート労働者に限られる中、時給上昇の一部は労働時間の減少が打ち消すことになるだろう。

 また、今後の労働供給の中心になるとみられる有配偶女性は、税や社会保険上の扶養家族でいるために就労調整を行う人が多い。そうした就労調整は、103万円など年収が基準となっており、時給上昇はその分の労働時間短縮につながる。

 総じて、今後も平均労働時間の減少は続き、雇用者数の増加ほど労働投入量は増えず、消費と雇用に温度差が生じる状況は続こう。現状のような雇用の回復だけでは消費の回復力は強まりにくく、税や社会保障による就労抑制の解消や生産性上昇による賃金増、家計の金融ストックのフロー化などの対応が不可欠となろう。