水道の凍結を予防するためには「水を出しっぱなしにする」という方法もある。しかし、そうすると水道料金がかさむ。屋外の水道管にヒーターを巻いて温めれば、電気代がかかる。ボタン一つで「水を落とす」ことの可能な住居もあるが、そのような住居に生活保護利用者たちが住んでいることは、ほとんどない。蛇口を回す力を必要とする「水を落とす」作業は、高齢者や障害者にとっては困難な仕事でもある。

10月半ば、取材の訪れた日、道生連では既に除雪スコップが用意されていた。この日夜、旭川市で初雪が見られた
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 この他、冬物衣料、雪に対応できる靴(安くても4000円台、一冬で履きつぶすため毎年)、雪かき用スコップ(1本1500円前後)など、冬を越すために必要な費用は数多い。たとえば、雪かき用スコップが折れたときに買い替えられる余裕がないと、その日から雪かきができず、外出もできないことになる。生活保護利用者、特に生活費分が激減する70歳以上の人々が臨時に強いられる「1500円」の出費の重みは、生活保護以上の生活をしている人間からは、想像を絶するものである。

 さらに、自分で雪かきが出来ない人・冬に備えて建物を守るための作業が出来ない人は、何らかの形で他人に依頼するしかない。その費用が生活保護のメニューに存在したり、ましてやボランティアに頼れたりするとは限らない。

「冬だけ生活保護」という選択も

 北海道の苛酷な冬に対応するため、「冬だけ生活保護」という選択をする人々もいる。

「冬の間だけ生活保護を利用している年金生活者が、札幌市だけでも約500人います。夏には廃止(生活保護打ち切り)して、冬になったらまた生活保護、というパターンです」(佐藤さん)

「遺族年金の月額が10万円前後、公営住宅住まいという高齢者の方、たくさんいます。生活保護基準ギリギリ、医療扶助を考えたら生活保護基準以下の生活なんです。夏はなんとかなっても、冬はとても暮らせないので、生活保護、ということです。でも生活扶助、住宅扶助、冬季加算と減らされましたから、食費をさらに削らないといけない人、これから増えるでしょうね」(細川さん)

道生連の駐車場に用意されている融雪機。設置に100万円ほどかかったという。冬季は朝6時から除雪し、雪をこの融雪機に投入して水にする。雪が多いと、この融雪機でも融かしきれず、しかたなく駐車場の隅に雪を積んでおくことになるそうだ
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 北海道には、生活保護の全国一律のメニューに加えて「薪炭費(しんたんぴ)特別基準」がある。薪炭費は、生活保護制度が現在の形になった1950年に用意されたメニューで、北海道の制度として現在も残されている。金額の例を挙げると、寒冷の特に厳しい稚内などの4人以上世帯で、月額1690円。北海道の中では比較的温暖な函館などの単身世帯で、月額180円。札幌市は0円だ。

「30年前は、札幌市では一冬7万円くらいで、薪炭費だけの単給もありました。それを利用して、冬の間は生活保護を受けずとも過ごせた方もいました。今は、とにかく、どんどん削っていって、これでもか、これでもかと攻め立てて来る……という感じですが」(佐藤さん)