ところが日本は少年時代に親しむスポーツといえばもっぱらサッカーか野球で、ラグビーの楕円球に触れる機会はまずない。あるとすれば小学生対象の少年ラグビースクールだが、スクールがあるのは大阪を中心とした近畿圏、東京を中心とした首都圏、福岡を中心とした九州圏ぐらいのもの。それも決して数は多くないし環境も整っているとはいえない。

高校ラグビー部は減る一方
他の競技に才能を取られてしまう

 また、中学でラグビー部がある学校も少なく、少年ラグビースクールでラグビーが好きになった子も中学では他の競技に転向するケースが少なくない。才能が他のスポーツに取られてしまう構造があるのだ。

 そんなこともあって、将来の有望選手が育つ場である高校ラグビー部の部員も多くが初心者だ。高体連ラグビー専門部が今年、全国の高校ラグビー部員に対して行った調査によれば、約66%が「高校からラグビーを始めた」と答えたという。高校でゼロから楕円球の扱いやパス、キック、タックル、スクラムなどのスキルを覚える選手が大半なのだ(南アフリカ戦でも奮闘した日本代表の最年長・37歳の大野均に至っては、大学に入ってからラグビーを始めた)。

 さらにラグビーは3Kスポーツ(きつい、汚い、ケガが多い)という印象があり、親がやらせたがらない。これに少子化の流れが加わって、高校のラグビー部の数は減る一方だ。毎年、暮れから年明けにかけて行われる全国高校ラグビー大会の都道府県予選参加校が最多だったのは第71回大会(1991年度)の1490校。それが昨年度に行われた第94回大会では786「チーム」になった。半分近くにまで激減したのだ。

 また「チーム」としているのは、単独で出場する「校」ではないため。ラグビー部がある高校は786よりも多いが、部員不足で試合ができず、2~4校くらいのラグビー部員をかき集めて合同チームをつくり出場するケースが多いからだ。

 こうした背景もあって、こんな珍現象も起きている。島根県予選の参加チーム数は「2」。予選といっても、いきなり島根県代表を決める決勝戦が行われるのだ。昨年度、この決勝で対戦したのは石見智翆館高(旧江の川高)と出雲高・松江高専合同チーム。合同チームは仮に都道府県予選で優勝したとしても、規定で全国大会には出場できないことになっているから、実質、石見智翆館高は予選なしで島根県代表になったのである(決勝戦は145―0で石見智翆館が勝利)。