首都高速道路の運営会社、首都高速道路株式会社が10月5日、発注する道路工事に関わる保険について、損害保険会社と「意見交換会」を開催すると発表した。その報に接したゼネコン各社は、「やっぱりか……」とため息をつく。
というのも、工事中に起きた事故の保険は本来、請負側のゼネコンの責任において手配すべきもの。そのため、ゼネコンが抱える保険代理店を通じて損保に加入するのが通例となっている。
ところが、今回のケースでは、発注者側である首都高のグループ代理店、首都高保険サポートが保険を発注する可能性が高いのだ。もちろん、損保から支払われる手数料は、首都高保険サポートに転がり込むことになる。
首都高クラスの大型補修工事となればその補修費は巨額だ。今年度だけでも480億円、2028年度までの累計で6262億円にもなる。故に、この工事のリスクを引き受ける保険会社に支払われる保険料は10億円を超え、手数料も億円単位になるとみられる。
実は、首都高側がこのスキームを提示するのは今回が初めてではない。昨年末にも同様の提示があったのだ。暗躍したのが損保の雄、東京海上日動火災保険で、首都高側に利益が落ちるスキームを作り、多額の保険料を受け取れる主幹事の座を射止めようとした。
その事実を本誌15年1月17日号(「首都高の保険めぐり大混乱 背後に見える東京海上の影」)で暴露したところ、計画は「いったん中止」(首都高)となり、東京海上社内でも、ゼネコンを担当する部署が不満を示すなど混乱が起きたという。そのためか、今回東京海上に不穏な動きはない。