なかでも景気停滞時、新卒採用に消極的だった会社は、現在深刻な若手の人材不足に悩まされていて、いびつになった社員の年齢構成を解消するため、若手(20代)の採用に力を入れています。ただ、20代で同業他社の人材かつ該当業務の経験者と、採用基準を事細かに設定すれば、

「対象となる候補者はいません」

 と、人材採用会社からはつれない回答。求人広告を出しても応募がない悲しい状態になる場合が少なくありません。こうして時間だけが刻々と過ぎていきます。ついには業績に影響をきたす可能性まで出てきた会社も。ただ、人事部の採用担当は、「(採用によって)自分の人事評価が下がるのは困る」とキャリア採用以外の方法を避けたいと思っています。

 エン・ジャパンの人事担当者向け中途採用支援サイト『エン 人事のミカタ』の調査(2015年9月)によると、「過去と比較して採用基準を変更した」という会社は3割に上るとのこと。必要なスキルや職歴などの条件を大幅に緩和し、「入社させてから教育する」つもりでポテンシャル採用に切り替える決断をする会社が出てきたのです。背に腹はかえられなかったともいえます。

 ただ、この選択は正しいのでしょうか?

金融関連企業にもかかわらず
飲食、ネット業界から転職者が続々

 ポテンシャル採用に切り替えると、採用プロセスが大きく変わります。まず、人事部が行う書類選考では、履歴書や職務経歴書によるスクリーニング(ふるい分け)を精緻に行うことがなくなります。

「とにかく、会って、熱意や社風に合うかで選ぶことにしよう」

 と面接の機会を増やして、人物評価に選考基準をシフトします。ポテンシャル、つまり潜在的な力という、今後の成長の可能性が判断基準ですから、

 <若いから鍛えれば何とかなるに違いない>
 <学歴が高いから勉強して知識は学んでもらえるはず>

 というザックリした人事部や役員などの感覚で、入社が決まりがちになります。一般的に30歳を超えてからの転職は、テクニカルスキル重視のキャリア採用が大半。キャリアの軌道修正も見込むポテンシャル採用では、20代の若手が中心です。