去る10月29日、第18期党中央委員会第5回全体会議(五中全会)は「すべての夫婦に第二子出産を認める(全面二孩)」政策を発表した。

 それはもはや十数年遅れの改革措置ともいえるものであり、今のところ出産の完全自由化には至っていないものの、「夫婦の一方が一人っ子である限り、第二子の出産を認める(単独二孩)」実施以来のさらなる進歩であり、また現在及び今後の中国経済にとっても価値あるニュースである。

単独二孩政策でも出産率上がらず
人的資本に対して投資が不足

 新華ネットによると、習近平党総書記(国家主席)は、「第13次5ヵ年計画」に関する提言について説明した際、次のように述べた。

 調査では、夫婦の片方が一人っ子の場合に第2子を生んでよいとする政策を実施して以来、条件に適合する夫婦は全国で1100万組以上いたが、今年8月末までに第2子出産を申請したのはこのうち15.4%の169万組だけだった。

 一方では中国の高齢化の趨勢は明らかで、総人口に占める60歳以上の人口の割合は昨年15%を超え、世界の平均水準を上回った。また14歳以下の人口の割合は世界の平均よりも低かった。

 これらは中国にとって人口のバランスがとれた発展と人口面での安全保障に新たな課題を突きつけている。二人っ子政策の全面的な実施は、高齢化の圧力を和らげ、労働力の供給を増やし、人口のバランスある発展を促すことができる。

 最近、中国経済の鈍化を懸念する人は多いが、実際の根本的な問題は、中国国内では生産過剰状況が普遍的になり、多くの産業の投資機会も減少していることである。そういう状況を変えるには、当面投資がいまだに不足している分野を見つけ、そこから比較的高い投資利益を獲得し、さらに新たな経済成長の基点を形成しなければならない。政府であろうと、投資家であろうと、目下いずれも投資可能な新しい分野を探している。

 エコノミストたちは、「人的資本」が投資の最も必要な分野であり、最も投資価値のある方向でもある、と考えている。

 中国は人口大国であるが、人的資本に対する投資が非常に不足している。その不足は、一方では品質に表れている。たとえば、中国では、教育と健康に対する投資のGDPに占める割合が比較的低い。その一方で、労働力、消費量など数量における不足もさらに懸念されている。言いかえれば、出生率の持続的な低下は中国経済に暗い影を投げかけてきたということになる。