「China2049」が示す
米中関係の未来

 ここまで「China2049」の内容に触れてきた。ここで書いたことだけでもかなり驚きだが、他にも驚愕の事実が山盛りなので、是非ご一読いただきたい。

 次に、「この本の位置づけ」について考えてみよう。15年3月、親米諸国が米国を裏切り中国側についた「AIIB事件」が起こった時、筆者は「米国は必ず逆襲する」と書き、その方法についても予測した。(詳細はこちらの記事を参照)あれから半年が過ぎ、予想通り米中関係は、急速に悪化している。

 問題は、最初に触れたように両国の対立が「一過性のもの」なのか、「長期化する」のか、である。

 ところで、この本の冒頭には、「機密情報が漏えいしないよう、CIA、FBI、国防長官府、国防総省の代理によって査読を受けた」とある。つまり、この本には、CIA、FBI、国防総省もかかわっているのだ。巻末には、「謝辞」があるが、その中に、こんな一文がある。

 <ヘンリー・キッシンジャーは中国人の考えを深く理解しており、その知識に基づいて直接的にも間接的にも支援してくれた。>(360p)

 かつて米国ナンバーワン「パンダ・ハガー」だったキッシンジャーが、全面的に協力している。これは、「キッシンジャーが親中派をやめた証拠」といってよいだろう。大物親中派ピルズベリーとキッシンジャーの転向により、今後米国で「パンダ・ハガー」でいることは困難になるだろう。無理に親中派をつづければ、中国との「黒い関係」を疑われるようになる。

 そして、冒頭にある「推薦の言葉」は「決定的」だ。ウールジー元CIA長官は、中国について、こう書いている。

 <本書が明かす中国の真の姿は、孫子の教えを守って如才なく野心を隠し、アメリカのアキレス腱を射抜く最善の方法を探しつづける極めて聡明な敵だ。
 我々は早急に強い行動を取らなければならない。

 元CIA長官が、ある国について「敵」と名指しするのは、よほどのことだ。そして、ピルズベリー自身は、「アメリカはこのマラソンの敗者になろうとしている」と警告している。さらに、「中国が覇権をとった暗黒の世界」を描き、そうならないために「米国が中国に勝利する方法」まできっちり解説している。

 これらすべての事実からわかることは、「中国の世界覇権の野心を知った米国支配層が、中国打倒の決意を固めている」ということだ。つまり、現在の「米中対立」は、「米中覇権戦争」の一環であり、戦いは「長期化」し、決着がつくまでつづく」可能性が高いのだ。私たち日本国民も、日本政府も、「今は1930年代のように、変化の激しい切実な時代なのだ」ということを、はっきり自覚しておく必要がある。