ところが、今回の政策転換にしても廃止、撤廃の対象はあくまでも第2子に限られるため、産児制限の制度はそのまま残ることになる。つまり、第3子以降は引き続き産児制限の対象であり、国民は同制度の管理、監視の下で介入、干渉を受け続けることになる。

 中国当局にとっては、全国民を一網打尽に漏れなく掌握、監視できる便利な合法システムであり、これを「2人目を産ませない」から「3人目を産ませない」へと看板を塗り変えただけである。すでに巨大な利権と化している、いわば「おいしい制度」であるだけに、今のところそう簡単にこの制度を解体して手放すようなことは考え難い。

育児管理を通じて権益組織の
集金マシンと化した一人っ子政策

 2つ目の問題点は、同制度は国際的には通用しない非合法な仕組みとはいえ、中国の国内にあっては今や組織の肥大化と共に、巨大な権益組織による集金マシンと化しており、中央、地方の政府、自治体にとってはもはや手放すことのできない、貴重な財源として根を張り、定着していることである。

 中国は、一人っ子政策を国策として広く遍く全国民に浸透、徹底させようと、既存の衛生部(日本の厚労省に該当)とは別建ての独立組織として「計画生育委員会」(13年に衛生部と統合)を立ち上げ、国民の産児制限に関する一切の権限を委ねて、同制度の運営、管理に携わっている。

 全国民を対象に、産児制限に関する許認可をはじめ、家族計画の指導や違反者から罰金を取り立てるなど、その権限は絶大で、今や全国の隅々へ同委員会の末端組織が浸透し、正規職員だけでも全国で50万人超に及ぶ「超マンモス役所」に膨れ上がっている。

 一人っ子政策は、21世紀末の人口を12億人以下に抑えると共に、経済の成長、発展を目指して、1980年から「夫婦一組、子ども一人」を基本に本格的に導入され、1982年には憲法で国策として定められた。それを順守する夫婦には子ども向けに奨励金、医療費補助、学費補助を、夫婦向けには昇進面での配慮や退職金の5%増額などの優遇措置を打ち出している。

 一方、違反者には厳しい罰金を課し、取り立ても容赦しないというように、万全が期されている。同委員会の職員には、「違反」を摘発し、罰金の科料を課す権限が与えられている。職員が職権で「違反」の子どもを親元から強引に連れ去り、海外の養子縁組組織に売り渡していた事例が相次いで発覚、国際社会から厳しい批判を浴びた話は、記憶に新しい。