女性高齢者ドライバーは、事故を起こしやすいのか?
過去数十年にわたり、交通事故の発生件数や死亡者の数は減少を続けています。しかしその中で唯一、増えているのが高齢者の関わる事故です。被害者・加害者の両面で、なのですが今回は加害者としての側面を論じたいと思います。
これまで高齢者の起こす交通事故は、圧倒的に男性によるものでした。しかし、最近目立つのは女性による事故です。
・93歳女性が高校生をひき逃げ(福岡、2015.11.03)
・70代女性が2人に怪我(札幌、2015.11.02)
もちろん、女性高齢者ドライバーが事故を起こしやすいわけでは、ありません。免許保有者1人当たりの事故率は、
・若者(16~24歳)が圧倒的に高い
・女性より男性が1.5倍ほど高い
のです。しかし、死亡事故で見ると、もっとも事故率が高いのが75歳以上の高齢者とわかります。2014年の、免許保有者10万人あたりの死亡事故発生数は、
・16~24歳:9件
・25~74歳:4件前後
・75歳以上:10件
となっています。重大事故を、高齢者は起こしやすいのです。
また、走行距離あたりで見ると、女性の事故率は男性の倍近く高い(*1)ことがわかります。女性の1人当たり事故率が低いのは、必ずしも安全運転だから、ではなく、年間走行距離が短い(3分の1程度)から、でした。
ただ、このこと自体は昔と変わったわけではありません。問題は、その女性高齢者ドライバーがここ10年激増しており、そして今後10年以上、さらに増え続けるだろう、という点なのです。
*1 事故の内容では低速での軽微なものが多い。