豆腐こんにゃくを一口サイズの食べやすい玉状にした「玉豆腐こんにゃく」。さらに、ふわふわ食感

 試作品のアワビ(風こんにゃく)は、見た目も食感も風味もホンモノそのもので、居酒屋で大好評だったらしい。目の前にあるアワビの失敗作という乾燥ホタテ(風こんにゃく)も、まるでホンモノである。

「『なんとか風』にしかなりませんけど、こんにゃくはいろんな食べ物になりえるんですよ」(兵藤さん)

 こんにゃくの化けっぷり、恐るべし。頭の中にあった「四角い灰色」の姿が薄れ始めた。もはや、この世にこんにゃくでできないものはないような気がしてきた。

ターゲットは「ゆりかごから墓場まで」
柔らかい&携帯できるこんにゃくも誕生

 下仁田町・茂木食品工業は創業55年となる、こんにゃくメーカー。量販製品よりもはるかに手間のかかる、昔ながらの製造方法である「水かき缶蒸し製法」「冷温熟成製法」にこだわった商品を販売している。

 一方で、同社のこんにゃく商品のラインナップもすさまじい。HPを見るとこんにゃく麺だけでも、ラーメン、うどん、そば、冷麺、パスタなど8種類、刺身こんにゃくも、青のり入り、ゆず入り、明太子入り、「笑っちゃうほどさらし鯨そっくり『くじらーこん』」など9種類と、ありとあらゆるこんにゃく商品が並ぶ。

茂木食品工業「味付けこんにゃくシリーズ」。しょうゆ漬けの「うま辛こんにゃく」「みそ漬けこんにゃく」、そして「こんにゃくと大根の甘酢漬け」。甘酸っぱいこんにゃくと、シャキシャキ大根は絶妙な相性!

 社長の茂木進さんのイチオシは調味液に漬けこんだ「味付けこんにゃく」だ。しょうゆ漬け、みそ漬けなど「こんにゃくに味がしみる」ということも驚きだが、さらに目を引くのが「こんにゃくと大根の甘酢漬け」。たしか、こんにゃくは、世界でも例がないほど、ぶっちぎりの「高アルカリ性」食品のはず……。

――酢が、しみるんですか?

「しみます。ただし食感が変わらないための製法が必要です」と、茂木さんが説明する。

「アルカリ性→中性→酸性とステップを踏んで作るんです。一気にさ、ん、せ、い! ってやってしまうと、こんにゃくがストレスを感じてコシがなくなるんです」

 茂木さんが細心の注意を払い、こんにゃくをリラックスさせるべく苦心して商品を作り上げるのもすべて「こんにゃくが今の時代に受け入れられていないから」である。