『週刊ダイヤモンド』12月12日号の第1特集は、「無敵の手帳術&情報管理術」です。スマートフォンなどデジタル全盛期にもかかわらず、紙の手帳が売れています。デジタル入力より手書きの方が、アイデアが出やすい、思考が深まりやすいなどといった効用があったり、手帳にイラストやライフログを書いたりと、さまざまな使われ方をしています。そんな手帳の“今”をお届けします。
「手帳の売り上げは毎年右肩上がりを続け、12年前の約2倍です」――。
ビジネスマンの“聖地”丸善 丸の内本店。長らく手帳売り場を見てきた担当者の言葉通り、手帳マーケットが拡大を続けている。情報管理に卓越したスマートフォンが急速に普及する中、なぜ紙の手帳が伸びているのか。
そこで本誌は読者1046人(平均年収842万円)に手帳に関する緊急アンケートを実施。すると、手帳の「新常識」ともいえる実態が浮かび上がってきた。
通常、手帳は1人1冊と思われがちだが、そうではない。「手帳を2冊以上使っている人(2冊持ち)」が24.3%に達しているのだ。
この割合を年収別に見ると、年収500万円未満の19.7%に対し、年収1000万円以上は29.4%に跳ね上がる。しかも年収が高くなるにつれ、その割合は高まる傾向にある。
すなわち、年収が高いビジネスマンほど、手帳の2冊持ちが多くなっているのだ。その理由は何か。まず、1冊目の手帳の用途は、スケジュール管理が92%を占める。差がつくのが2冊目の用途だ。分かりやすい事例として、社長と一般社員とで比較してみた。
特筆すべきは、手帳にアイデア等のメモを書く割合が、社長の方が一般社員に比べて圧倒的に高いことだ。紙の手帳が見直されている背景には、手書きすることによって想像力が膨らんだり、斬新なアイデアを生み出したり、考えを深めたりすることがある。
無論、職務の違いといってしまえばその通りだが、高年収=職務の高度化と捉えれば、今回のアンケート結果は、それを如実に表しているといえよう。
一方、一般社員の方が社長より多いのが、ライフログと呼ばれる食事や体重などの生活記録や、夢や人生目標の達成記録の割合だ。実は、読者の手帳選びのポイントでも「機能性」がトップ。そうしたニーズの多様化に合わせ高機能・高価格の手帳が登場し、マーケットを広げている。