出世する東大卒は「○○スキル」が高い
【津田】ボキャブラリーの豊富な人材と言うと、僕はいつも芸人を思い浮かべるんです。
【鈴木】私も前から芸人さんについては「この人たち、めちゃくちゃ頭の回転がいいな〜」と思っていますよ。彼らはずっとネタを考えていますから、相当、地頭も鍛えられている。ああいう頭のよさが、これからの日本には本当に必要なんですよ。
【津田】石井てる美さんっていう、東大を出てからマッキンゼーに行って、TOEIC990点満点なのに今は芸人をやっているという面白い人物とも対談しました。彼女も周りの芸人を見てまったく同じことを感じていましたね。
参考:
「東大卒・元マッキンゼー」の芸人だけど何か質問ある?
[石井てる美 × 津田久資 対談(第1回)]
【鈴木】へえ、面白い人が出てきていますね! 何を隠そう、私、東大時代には駒場小劇場で芝居もやっていたんです。
【津田】それは知りませんでした!
【鈴木】芝居とか漫才の脚本というのは、間、言葉の選び方、論理性と感性、量から質への展開、要素の重みづけ(プライオリティ)といった、まさに「思考に関わる総合力」が問われますよね。
それこそ津田さんのビジネス研修なんかでも、生徒さんにはお笑いの脚本を書いてもらったらいいんじゃないですか? ビジネスマンが思考力を磨くには、最高の方法かもしれません(笑)。
【津田】藤原和博さんとの対談したときに、藤原さんも「ロールプレイング(役割を演じること)の力が重要だ」という話をされていました。ロールプレイングの考え方はいろんなところに使えますよね。
参考:
読む本を「選ばない」人だけが手にするもの
[藤原和博 × 津田久資対談(最終回)]
【鈴木】まさにお笑い芸人もそうだし、経営もそうですから。
【津田】商売というかマーケティングそのものが「顧客の立場で考えること」なわけですから、まさにロールプレイングは大事ですね。
【鈴木】結局、「東大を出て出世している人間」と「そうでない人間」の違いがあるとすれば、それは「ロールプレイングができるかできないか」「シナリオが書けるか書けないか」の違いに尽きるでしょうね。
こういう非認知スキルって、学力とか学歴とはまったく関係がない。東大卒の方でも、非認知スキルがない人って割と多いようですから……。
【津田】わかります。まさにIQとEQの違いというか。
【鈴木】これからは「思考力」とひと口に言っても、そういった方面に思考力を使える人が求められるようになっていくと思いますね。
(対談、終わり)