駅利用者や職員らのアスベスト曝露も懸念されており、市が実施させた飛散シミュレーションでは、エレベーター前やホームに降りる階段、ホームの半分ほどで、同年12月12日午前9時から午後6時にわたって1リットルあたり55~1045本が飛散していたと推計されており、駅利用者らはそうした高濃度のアスベストに晒された可能性がある。

 大阪府立金岡高校でも、2012年10月に校舎の耐震補強や改修の工事で校舎のひさし裏に吹き付けられたアスベストを飛散させ、現在も生徒らの健康リスクについて検証を続けている。

 さらに神奈川県綾瀬市の綾瀬小学校では、2011年5月、生徒の居る中で旧校舎を解体。その際、高濃度のアスベストを含有する断熱材が使用された煙突2本を適正な対策なしに壊して、周辺にアスベストを飛散させた。その結果、市は住民から訴えられる羽目になった。

 他にも2006年、新潟県佐渡市の両津小学校で改修工事中に児童らがアスベストに曝露した事故、1999年の東京都文京区さしがや保育園で園児らが曝露することになった事故も有名だ。1990年代には東京大学でもずさんな工事が起こり、大きな問題になっている。

 明らかになっている事例に公共施設が多いのは、民間と違って公表せざるを得ないためでしかない。当然“氷山の一角”であろう。

 実際、数年前にある駅では「夜間のアスベスト除去工事で数百本がコンコースに漏れていたが、除去業者が報告しなかった」と、分析業者は打ち明ける。高層ビルの改修でも、「ひどい工事で明らかに飛散していた」と明かす除去業者もいた。だが、それらの“飛散事故”は公表されていない。こうした事例は筆者の耳にすらちょくちょく入ってくる。

関係者がそっと打ち明ける
「縦区画は事故だらけ」の実態

 なかでも飛散事故が多いのは、エレベーターが上下に動く縦坑である「エレベーターシャフト」や空調用のダクトが通る縦坑「ダクトシャフト」といった「縦区画」におけるアスベスト除去だという。