ヤフーの磐石な収益構造の背景には、総合力がある。しかし、総合力は一つ間違えば社内リソースの分散を招き、規模は往々にして意思決定のスピードを削ぐ。では、ヤフーはどうなのか。井上社長に聞いた。
(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 清水量介)

ヤフー 井上雅博社長インタビュー<br />「意思決定の遅れは認める<br />提携・買収で今年は攻める!」ヤフー 井上雅博社長
Photo by Toshiaki Usami

─オークションの伸びが鈍化している。

 これまでオークションが伸びてきた理由は、楽しさにあった。

 従来の買い物は価格を店が決めて消費者ができることといえば、買うか買わないかの判断だけだった。ところが、オークションでは価格決定権が消費者側にあり、競り勝つ楽しみもあった。

 ところが、今のヤフーオークションはそういう楽しさを感じにくくなっている面がある。

 というのも、決められた額を支払えば終了時刻前でも即決しますという出品のほうが多くなり、オークションというよりショッピングとしての要素が強くなった。

 近いうちに、こういう出品と競る要素が強い出品を綺麗に分ける表示を導入したい。

─iPadやスマートフォンが流行し、グーグルがパソコン向けのOSを提供し始めると、ヤフーの検索を使ってもらえなくなる可能性がある。

 ヤフーのページビューで検索にかかわる部分は1~2割しかない。

 そもそも、サービスというのは強制できない。利用者は自分が使いたいものを使う。

 ヤフーだって、ブラウザのトップ画面に必ず設定されているわけではないが、サービスの魅力でトップ画面に指名してもらってきた。

 今後、いろいろなデバイスやOSが普及しようとも、魅力的なサービスが多くあればトップ画面に設定してもらえると思う。