サウジの思惑とイラン制裁解除で供給過剰
中国と世界の景気減速で需要は低迷

 原油価格の下落の背景には、世界的に原油が過剰気味になっていることがある。供給サイドでは、シェールオイルブームによって米国などで産油量が大きく上昇した。それに加えて、サウジアラビアをはじめとする主要産油国が減産を見送ったことが大きく影響している。

 2014年、米国の原油生産量は、サウジアラビアを抜いて世界第1位となった。米国の生産増加は、世界の原油市場をコントロールしてきたサウジアラビアにとって、影響力の低下を危惧させたはずだ。

 かつて、サウジアラビアはOPEC(石油輸出国機構)内の減産合意に基づいて、産油量を減らし市場シェアを落としてしまった。その時の経験もあり、同国などOPEC諸国は減産を見送り、結果として原油の供給圧力が高まった。

 また、1月16日、欧米諸国がイランに対する経済制裁を解除すると発表した。すでに、イランは原油輸出量を一日当たり50万バレル増やす用意があるという。イランの追加的な供給圧力は、原油価格の下押し圧力として働く。

 一方、原油に対する需要は低迷している。基本的に、原油への需要は世界の経済状況に大きく左右される。経済状況が上向きになると、生産活動の活発化等のためにより多くのエネルギーが必要になる。経済状況が悪化すると、原油への需要も弱まりやすい。

 世界経済の下落を招いた最大の要因は中国の景気減速だ。リーマンショック後、中国政府は約4兆円(約57兆円)の景気刺激策を打ち出した。それは、リーマンショック後の景気を一時的に支えた。

 しかし、景気対策の賞味期限はほとんどが3年程度だ。中国の景気拡大は続かず、2014年以降、減速は鮮明化した。積極的な景気対策の結果、国内では鉄鋼や石炭などの過剰な生産能力が蓄積された。それが中国での不良債権への懸念を高めてきた。

 こうして中国経済の成長期待は低下し、世界的に原油など資源に対する需要が低迷した。中国経済の減速は、ブラジルなど他の新興国やオーストラリアなどの資源国の景気減速にもつながった。