私は、社会人基礎力の中でも【考え抜く力】(シンキング)のとりわけ「課題発見力」と「創造力」、そして「失敗を恐れすぎる」点が原因だと感じています。その背景の1つにあるのがインターネットの普及です。

 これを読んでいるあなたが、就職活動を始めた時を思い出してください。もしまだ始めていない場合は、想像していただければと思います。まず、失敗しないためにどのように就職活動を進めていくでしょうか。

「失敗しないため」というのがミソになります。今やインターネット上には失敗しないための知識が溢れています。試しに「失敗しない」とグーグルで検索してみたところ、9,870,0000件が表示されました。また関連ワードとして出てきたのは、失敗しないダイエット、餃子の焼き方、カルボナーラなど実に様々です。確かに失敗したくないものばかりで非常に参考になります。多くの知識がインターネット上で公開されている点には感心するばかりです。

 本連載でも幾度となくお伝えした通り、今や就職活動や転職活動の知識もインターネット上に溢れています。しかし、こういったノウハウだけで就職活動をしようとする人ほど、失敗するケースをたくさん見てきたのも事実です。いまや先輩のエントリーシートを閲覧できる就活サイトまであります。もちろん、私はこれらのサイトの存在を否定しているわけではありません。それをそのまま使用することは肯定できないというのが私の考えです。

 そして、それこそが「課題発見力」と「創造力」の成長を大きく阻害している原因だと考えています。他者の強みやエピソードはあくまで他者のものであり、自分が体験したものではありません。ましてや、エントリーシートや履歴書に書かれているエピソードは、大きな体験をほんの触り程度に要約したものです。事細かに語るには情報が少なすぎます。

 しかし、現在のインターネットが発達した環境で調べれば、自分自身では何も考えなくても一般論やあるべき論が語れてしまいます。ところが企業が募集している人材は評論家ではなく、自分がどう企業で活躍できるかを伝えられる人間です。ですから、自分の強みでないエピソードを語られても採用担当者の耳には入ってきません。結果として「失敗しないための知識」は失敗を招く、という皮肉を生むのです。