なにより、それでは音を楽しめません。
自分の中に入ってきた音を「知識としてため込もう」とするのではなく、音が自分の中を通り抜けていくこと自体が心地いいのです。
少なくとも僕はずっと、そうやって音楽と接してきました。
ただ、ここには重要なポイントがあります。
たとえどんなに音楽を聴き流していたのだとしても、やはり「のこる音」はあるはずだということです。
メロディなのかリズムなのか、はたまた歌詞なのかはわかりませんが、音楽というのは僕らの心になにかしらの作用を及ぼして、なにかを残していきます。
音の配列をすべて記憶しているとか、楽器で完璧に再現できるとか、歌詞を暗記しているといったことは、音楽を聴く本来の目的ではないはず。
そうではなく、聴いた結果として自分の中に生まれたものが、その音楽の根本的な「価値」なのです。
(第5回に続く 明日3/1公開予定)