「ライフハッカー[日本版]」「NewsWeek日本版」などのニュースサイトに、月60本近くのブックレビュー記事を寄稿し、年間700冊以上の読書量を誇る人気書評家の印南敦史氏。
そんな多読生活を送る彼も、数年前までは「1ページ5分」かかるほどの超・遅読家だったという。
遅読にもかかわらず、毎日1本の書評を書くことになった彼がつかんだ、新時代の読書術「フロー・リーディング」とは?
最新刊『遅読家のための読書術』の内容をベースに、「読書スピードの遅さ」や「読書量の減少」に悩む人たちにお届けする。
もともと「音楽ライター」としてキャリアを築いてきた印南氏。彼が「新しい読書術」に辿り着くことができたのは「音楽を聞くこと」と「本を読むこと」との共通点に気づけたからだという。「音楽を聴くように本を読む方法」とは何なのか?
「聴く」と「読む」は似ている
僕はもともと、誰も名前を知らないような広告代理店でコピーライターをしたりしていた人間です。
その後、二足のワラジで音楽ライターをはじめ、音楽専門誌の編集部で働いていました。
独立してからは、一般誌を中心にフリーランスライターとして20年近く活動してきましたが、いまでも音楽は大好きで、定期的にDJイベントなども開催しています。
『遅読家のための読書術』は読書の方法に関する本ですが、音楽に関する話題がちょくちょく出てきます。
それは、僕の「書く仕事」の原点が音楽ライターだから……ということもなくはないのですが、それよりも大きな理由があります。
いたってシンプルなことで、つまり本も音楽も、いまの自分にとっては感覚的に同列だから。「読むこと」と「聴くこと」には、意外と共通点が多いのです。