「社員が自分にフリーライドしている」
タダ乗り問題に直面した経営者の憂鬱
先日、40代のある経営者から、「タダ乗り問題」に関する相談を受けた。私はエグゼクティブ・コーチングもしているので、この手の相談をたびたび受ける。
社員数約80人。サイズ的には中小企業に入る会社だ。その経営者の悩みというのは、「一部を除いて、社員がフリーライダー化している気がする」というものだった。具体的には、「経営者である自分に社員がフリーライドしている」というのだ。
彼の会社は、以下のような問題を抱えているらしい。
・社員が受動的で、経営者である自分からの指示がないと、ルーティン以上の仕事をしようとしない。
・会議などで議論をしても、うなずくか黙ったままで、社員が自分の意見をぶつけてこない。
・こんなご時世で会社の経営も厳しいのに、苦境を突破していくための具体的な行動が出てこない。社員には、「社長が何とかしてくれるのではないか」という待ち受けムードが漂っている。
誰か現業を任せられる優秀な社員が出てきてくれればいいのだが、それを期待するのは無理そうだ。本当は、自分は次のフェーズの事業や戦略に取り組みたいのに、社員がこのような現状だから、新しい試みに集中して時間を使えない。会社の成長を考えると、大きな「機会ロス」になっている――。
経営者は、このような悩みとイラ立ちを抱えているのであった。
そこで彼は、現業と並行して未来の事業戦略を進める時間をとるために、自宅とは別に会社の近くにアパートを借り、24時間自分が頑張れるような体制を整えた。