世の中、陽の当たる場所があれば、必ず影があります。光が強ければ強いほど、影も深くなるのが世の常です。
音楽の世界も例外ではありません。毎日、毎月、毎年、幾多の新人がプロデビューしています。デビューすること自体、大変な競争を勝ち抜いた証ですが、デビューを飾った新人たちのうち、第2弾、第3弾を制作する機会を与えられる音楽家は、ほんの一握りです。
まして、米ビルボード誌、英メロディー・メイカー誌、あるいは日本ならばオリコン誌のチャート上位にくい込むことは本当に凄いことです。そしてチャート首位を獲得するというのは、音楽のチカラと幸運があって初めて実現すると言えるでしょう。
しかし、一世を風靡し誰もが口ずさんだメロディーであっても永遠の命がある訳ではありません。年月が経てば、素晴らしかった曲も忘却の彼方に置き去りになっていきます。それでも何十年を経ても人々を魅了し続ける音楽があり音楽家がいます。本物だけが到達できる境地です。
そんな現代ポップミュージックを生み出したスーパースターが今年になって相次いで逝去する悲しいニュースが世界を駆けめぐりました。
1月10日、デヴィッド・ボウイ 享年69歳。
2月3日、モーリス・ホワイト(アース・ウィンド&ファイアー) 享年74歳。
彼らは、デビューから40年以上を経て現役で音楽活動を継続していた真のスーパースターでした。夢を追いつつも挫折していった無数の音楽家たちと何が違ったのでしょうか?
ボウイは、変幻自在の人でした。変化する才能が飛び抜けていました。ホワイトは、決断の人でした。真実の時が来た際に、リスクを取って果敢に決める覚悟がありました。
彼らが残した名盤を聴きながら、彼らの軌跡に思いを馳せてみましょう。