野党にとっては、極めて厳しい状況であるといえる。来たる参院選では、これまでのような野党分裂状態よりは善戦できるだろうが、安倍政権に対する「まだマシ」の評価を乗り越えて政権交代を実現するのは極めて困難である。

 そこで、次の参院選で安倍政権を倒し、政権交代を実現するのは難しいと考えて、長期的な戦略を持って、「政策別の野党再編」を行うのがいいのではないだろうか。この連載では、野党を「中道右派」(維新と民主党右派など)と「リベラル派」(民主党左派、社民、生活など)の2つくらいに再編することを主張してきた(第65回)。国民の野党に対する悪いイメージを変えるには、「政策別にまとまる」という真面目な姿勢を国民に見せるしかないのだ。

 この際、民主・維新の合流の新党から、リベラル派を追い出すことを画策してはどうだろうか。7月参院選だけを考えれば当然マイナスだ。だが、長期的に政権交代可能な勢力を作るには、避けては通れないプロセスではないだろうか。「壊し屋」江田氏の出番はもう一度ある。

従来の政党と差別化するには若者に
「将来に負担を先送りしない」メッセージを

 安倍政権との違いを出すために、野党は「護憲」「反原発」「反格差」を掲げるべきだとよく言われている。しかし、筆者はそれに反対だ。それでは一部の声の大きな左翼の支持は得られても、「サイレントマジョリティ」の支持を得られないからだ。

 サイレントマジョリティとは曖昧な定義ではあるが、いわゆる「中流」であり、中高年のサラリーマンとその家族、若手のサラリーマン家庭、共働き、これから就職活動をする若者らを含んでいる。彼らは、思想的に強い拘りを持たない層で、日常の生活に現実的な問題意識を持っている(第115回・下・3p)。彼らは「護憲」一本槍では、アジア、中東、欧州の国際情勢の変化に対応できないことを理解している。「反原発」も、日本が直面するエネルギー問題への現実的な解決策の提示がなければ、彼らは納得しない。

 そして、「反格差」だが、これも現在の野党の政策では、サイレントマジョリティの心には響かないだろう。なぜなら、それは安倍政権の政策と明確な違いがないからだ。アベノミクスは斜陽産業の大企業の延命で、野党はより雇用、格差縮小に焦点を当てるなど、政策の方向性に微妙な違いはある。だが、どちらも「あれもやります、これもやります、皆さんを守ります」という、バラマキ志向であることは、どちらも変わらない。

 民主・維新が合流する新党が、安倍政権との違いを打ち出したいならば、サイレントマジョリティの中で、特に若者に向けて、「いいにくいこと」をあえて言うことではないだろうか。若者は、アベノミクスも、野党が訴える格差対策も、そのための「負担」のことを何も言わないことを、よく見ている。そして、それが更なる財政赤字の拡大となり、自分達が社会の第一線に出た時に重い負担となることをよく認識している。新党は、若者に対して、「将来に負担を先送りしない、自分たちの世代が我慢をして、税金をしっかり払う」というメッセージを明確に出すべきではないだろうか。これこそ、どの政党も出していない、新しいメッセージなのである。