──こんにゃくの質の良し悪しというのはどういう部分で決まるでしょうか。

「一つは原料の違いです。こんにゃくは芋の成分を全部含んでいるのかどうかで味が違うんですよ。こちらは芋からつくったこんにゃくで、もう片方の黒っぽいのはこんにゃく粉からつくったものです。これは海藻で色をつけていますが、粉からつくると白くなります。例えばこんにゃく粉からつくる白滝はこんな色です。芋からつくったほうにはデンプンやタンパク質、それからセラミドという油分が含まれています。こんにゃく粉からつくったほうにはそれらは含まれていません。粉を精製する過程で取りのぞかれるんです」

 テーブルに2種類のこんにゃくが置かれた。1つは白く、もう片方は黒っぽい。

高くても売れる「こんにゃく」の圧倒的な競争力左がこんにゃく粉でつくったコンニャクで、右がこんにゃく芋でつくったもの。歯ざわりも「ツルツル」と「ザクザク」という違いがある

「母親から聞いた話ですが、昔は煮物をつくればこんにゃくからなくなっていったというんですね。今は箸で避けられている(笑)。作りはじめた頃はわからなかったんですが、それには製法と組成が関係しているのだと思います。今の市販品のこんにゃくは粉からつくるのがほとんどです。例えばうどんをつゆに入れておけばデンプンが水分を吸って茶色くなるじゃないですか。デンプンって味の染み込みに関係しているんですね。次にタンパク質ですが、これは風味に関係しています。タンパク質がないと芋の風味がない。最後のセラミドは乾燥の状態の芋の3%を占めています。こんにゃくになると20倍から30倍に伸ばされますから最終的にはかなり少なくなってしまうんですけど」

──凝固剤による味の違いは?

高くても売れる「こんにゃく」の圧倒的な競争力代表の澤浦彰治さん。農業ビジネスの成功者だが、青年のような眼差しが印象的だった

「炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、木灰で風味や歯ざわりが変わってきます。炭酸ナトリウムでつくると歯ごたえと粘りがあって、やはり美味しい。うちでも手でまとめる玉こんにゃくの一部は炭酸ナトリウムでつくっています。ただ、炭酸ナトリウムでつくると日持ちしないんですよ。そういったデメリットがあるんで、今では水酸化カルシウム──うちでは北海道産ほたて貝のカルシウムをつかっていますが、ほとんどが水酸化カルシウムですね。あとは昔からの木灰をつかった作り方というのもあって、炭酸ナトリウムに近い歯ざわりになります」

 グリンリーフのこんにゃくは製造工程の最中にアク抜きをしているので、調理の手間がかからないのも特徴だ。こんにゃくは食感を楽しむもので味気のない食べ物という先入観を持っていたが、食べてみるとこんにゃくの見方が変わった。芋からつくったこんにゃくを食べるとザクザクとした歯ごたえの後に芋の風味がする。こんにゃくはたしかに芋からつくった食べ物だと認識させられた。

──海外からも注目されていますが。

「ヨーロッパの方が白滝を食べてくれていて、うちもかなりの量を出しています。食物繊維を多く含み、ローカロリーであること、また日本女性のきれいな肌の理由ではないか、と広まっていますね」

──こんにゃくを販売するのに壁にぶつかったことは。

「うーん。こんにゃくに関しては順調に伸びていったのでないですね」

──これまで売れないで苦労した商品とかありませんか?

「それはいっぱいありますよ(笑)包材だけつくったけど結局売ることもできなかったものもありますから。売れた商品と売れなかった商品がありますよね。振り返ってみると、売れなかった商品は小手先というか、ウケを狙ってつくったものですね。売れていった商品は素直にこれがいい、と思ってつくったもの。『これいいね』というものは結果として売れているんですよ。〈糖絞り大根〉もそうです。『これ、旨いんだけど売れないんだよね』というところからはじめた商品です。ちょっとした売れない理由があって、それを解決したら爆発的なヒットになりました」