トヨタの今期2016年3月期の業績見通しは、売上高27兆5000億円、営業利益2兆8000億円、当期利益2兆2700億円と3年連続で過去最高益を更新し、リーマンショック前の水準を超える。トヨタグループのグローバル販売は2年連続で1000万台を超えた。

 5年前の2011年3月に発表された「トヨタグローバルビジョン」で目指した2015年に連結営業利益率5%、単独営業利益の黒字化(1ドル85円、世界販売750万台)という目標は、当時と比べて為替は超円高から円安へと環境変化したものの、今期の売上高営業利益率が10.2%の見込みであることから、大幅にクリアしている。

側近活用の課題や「巨艦化」の不安も
7カンパニー制は持続的成長につながるか?

 結果が全てではないが、ここ3年で豊田章男体制は盤石になった。業績がリーマン前を超え、グローバル販売も1000万台を超えた。2015年もライバルのVWがディーゼル排ガス不正問題で自滅したこともあって、トップの座を堅持した。

 豊田章男体制になって7年が経過しようとするなかで、「厳しい船出が逆に幸いになった」とグループのある長老は評価する。この間、章男社長就任前の拡大路線を打ち消して、トヨタ内部での求心力も高めてきた。豊田家の御曹司と言われながら社外にも「モリゾー」の異名でクルマ好きのトップをアピールし、「顔の見えるトップ」として自信を深めてきた。

 だが一方で、父君の豊田章一郎氏やトヨタ中興の祖と言われた豊田英二氏が「番頭政治」をうまく使った経営スタンスに対し、トップ直轄でやる傾向が強過ぎるとの声もあった。

 それでも社長就任から8年目を迎えようとし、5月には60歳となる豊田章男社長は、4年後の東京オリンピック・パラリンピックでも安倍政権から強い後押しを依頼されるなど、財界活動でも中心的な存在になりつつある。自動車産業の総本山である日本自動車工業会の会長職も、2年後の2018年にトヨタに回ってくる。豊田章男社長体制の長期政権の方向には誰も異存はないだろうが、いずれ会長職での財界活動などが求められてくるのは必至だ。 

 一方で、トヨタはグループ企業も含めて抱えるものも多く「巨艦になり過ぎた」と言う声もある。資本提携・業務提携企業も入れると、ダイハツ、日野、富士重工長、いすゞ、マツダまで加わる。

 トヨタの社内カンパニー体制への移行は、まずトヨタ内部から組織規模を小さくして体制を強化するということか。他の企業でも社内カンパニー制度のメリット、デメリットが指摘される。「ホールディングカンパニーへ移行するための布石か」との声もあるが、トヨタ内部は「そこまで考えていない」と否定する。

 豊田章男社長の決算発表での発言も2年前の「意思ある踊り場」から昨年は「挑戦へ実行する段階、バッターボックスに入った」に変わった。今期の決算発表ではどんな「章男語録」が飛び出すか。

 いずれにせよ、トヨタがこのカンパニー体制を狙い通りポスト1000万台時代の持続的成長へと繋げることができるか、また次世代のトップ人材の育成につなげられるかが注目されている。