中学校が、大量の高校未進学者を出すことは、社会的に許されることではないだろう。そこに付け込んで、素行不良の学生の親が「非行歴、素行不良を内申書に書くな」と学校に厳しい圧力をかけてくることになる。結局、中学校は、いじめの加害、補導歴、非行などがあっても、それを隠して内申書を書かねばならなくなる。

 もし、成績や素行の評価がオープンで公正に行われ、学校が妙な「権力」を持つことがなければ、親が学校に圧力をかけても無意味になってしまう。親がモンスターペアレンツに化けることもなくなるのである。

オープンで公正な学生評価ルールを確立し
学生の行動に「責任感」を植え付ける

 今回の問題における学校側の杜撰な資料管理、間違った進路指導は言語道断なのは言うまでもない。だが、より本質的な問題を忘れてはいけない。今回の件で学校の信用が地に堕ちた後になお、学校が生徒の進路選択に曖昧な権限を行使し続けるならば、その後起こることは、モンスターペアレンツの圧力が際限なく強くなっていくことだ。学校の現場は収拾のつかない無法地帯に陥ってしまう懸念がある。そんなことは、あってはならないことだ。

 重要なことは、オープンで公正な学生の成績評価、素行記録のルールを作ることだ。中学校は、学生側から求められればどの学校・企業に対しても推薦状・内申書を提出する。学生の進路選択の権利を侵害することはない。ただし学校は、ガラス張りで行われる成績評価・素行記録を、受け入れ先の求めに応じて包み隠さず開示するのである。

 推薦状・内申書は、海外ではコンフィデンシャル(機密事項)で、学生には通常公開されないが、日本の場合はこれまでの経緯に鑑み、公開性が高い方がいいだろう。推薦状・内申書は、提出前に親や生徒本人に見せて確認させればいい。そして、その内容については、教諭・学生・保護者の三者で議論すればいい。議論の記録はすべて残していくべきなのは言うまでもない。

 また、日常の学生指導、学生の素行記録、成績評価、進路指導の記録はすべて第三者機関がチェックする体制を確立すべきだ。その内容の変更を求める学生・保護者がいれば、その第三者機関が調停する仕組みにすればよい。

 これは、学校・学生双方にいい効果をもたらすと考える。学校は、杜撰な資料管理をすることができず、曖昧な権限で、安易に学生の評価を下すことができなくなる。高い緊張感を持って教育活動に取り組まざるを得なくなるだろう。

 一方、学生側も、悪いことをしたら記録が後々までオープンに残り、消せなくなるとなると、悪いことはできなくなる。学生も、従来のように、どうせ素行不良は学校が隠蔽してくれるからと、安易な気持ちでいられなくなる。学生は、日頃から行動に責任を持たなければならなくなるのだ。学生に責任感を植え付けることこそが、教育にとって最も重要なのではないかと考える。