春。出会いと別れの季節。そして就職と進学の季節でもある。私も10年以上前の春に大学に進学し、同時に日本育英会(現・日本学生支援機構)の第一種奨学金(月額5万円、無利子)を手にした。最初に振り込まれたときは、通帳に印字された数字を見ながら「やっべえ! 何に使おう」なんて無邪気にニヤニヤしていた。ちなみに、奨学金の返済は今も続いている。
私の実家は平均的な中産階級であったと自負しているが、私たちきょうだいが、みんなで親のすねをかじっていたので、JAの教育ローンも利用した(そして、こちらの返済もいまだに続いている)。さまざまな民間金融機関が教育ローンを提供しているが、公的融資制度である「国の教育ローン」は日本政策金融公庫が取り扱っている。
私立大学理系に進むと
高校進学以降1000万円が必要
その日本政策金融公庫はかねてから「国の教育ローン」利用者を対象とした『教育費負担の実態調査』を行っているが、昨年度から、より調査対象を拡大させた。今回は2月23日に発表された調査結果を見ていきたい。
こちらの調査、対象は「25歳以上64歳以下の男女、かつ、高校生以上の子供を持つ保護者」となっており、各都道府県から100名、合計4700人から回答を得ている。調査の中で、主たる家計維持者の平均年齢は51.0歳、世帯年収は平均834.4万円だ。厚生労働省が昨年発表した「国民生活基礎調査」の全世帯平均年収の528.9万円と比べると、そもそも結構高い数字になっている。年金生活者が含まれていないし、高校生以上の子どもがいる人を対象にしているため、また、インターネット調査ということもあってのことだろう。
さて、「高校入学から大学卒業までに必要な入在学費用(※)」は平均で899.4万円だ。高校卒業までに232.4万円、大学に進学するとさらに667.0万円が必要となっているが、大学では進学先によって、大きな差がある。
国公立大は689.9万円、私立大文系は907.9万円、私立大理系は1050.4万円。最大で400万弱の開きだ。自分の子どもが私立大の理系に進学したいと言い出したら、こんこんと説教してやりたい気分になる数字である。今のうちから、どうすれば子どもが国公立以外の大学に行く気をなくすかについて研究しておきたい。
(※)入在学費用は入学費用と在学費用を合算したもの。入学費用は受験費用や入学金、入学しなかった学校への入学金など、在学費用は学校教育費(授業料、通学費、教材の購入費など)と家庭教育費(塾・家庭教師の月謝、お稽古ごとにかかる費用など)を指す。