文系人はこれから何をすればいいんですか?

一つだけ言えるのは、山の頂上でお互いシェイクハンドするために、理系が登っている反対側から、僕ら文系も山登りをしないといけないということです。

気持ちいいところにいないで、しんどいところに首を突っ込んで学ばないと、まずいと思います。

たまたまですが、本の中でMITメディアラボ所長の伊藤穰一さんも「コンフォートゾーンにいては学びが止まる。僕にとって一番の勉強は新しい仕事」と言っていて、僕自身も文系によくあるパターンで大学時代に遊び呆けていたぶん、今になって必死に勉強しようとしてるというか(笑)、未知を学ぶことで人間はぎりぎり成長できると思っているところがある。

だから、文系人の仲間には「一緒に理系を勉強したうえで、戻ってきて勝負しようよ。じっとしてるんじゃなくて」と言いたいです。

文系人はもう世の中を変えられないと思われているかもしれないけど、本当にそうなのか。理系人に対してどう役に立ち、お互いどう組めば、未来をよくすることができるのか…。

そんな想いを抱えているのは僕だけじゃないという仮説のもと、次の時代を掴み損ねずにいたい文系人のための理系ダイジェストとして提案したこの本が、“苦手を学ぶ”きっかけになればと思います。

川村元気(かわむら・げんき)
1979年横浜生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業後、東宝にて『電車男』『告白』『悪人』『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』『寄生獣』『バケモノの子』『バクマン。』などの映画を製作。2010年米The Hollywood Reporter誌の「Next Generation Asia」に選出され、翌11年には優れた映画製作者に贈られる「藤本賞」を史上最年少で受賞。12年には初小説『世界から猫が消えたなら』を発表。同書は本屋大賞へのノミネートを受け、100万部突破の大ベストセラーとなり、佐藤健、宮崎あおい出演で映画化された。13年には絵本『ティニー ふうせんいぬのものがたり』を発表し、同作はNHKでアニメ化され現在放送中。14年には絵本『ムーム』を発表。同作は『The Dam Keeper』で米アカデミー賞にノミネートされた、Robert Kondo&Dice Tsutsumi監督によりアニメ映画化された。同年、山田洋次・沢木耕太郎・杉本博司・倉本聰・秋元康・宮崎駿・糸井重里・篠山紀信・谷川俊太郎・鈴木敏夫・横尾忠則・坂本龍一ら12人との仕事の対話集『仕事。』が大きな反響を呼ぶ。一方で、BRUTUS誌に連載された小説第2作『億男』を発表。同作は2作連続の本屋大賞ノミネートを受け、ベストセラーとなった。近著に、ハリウッドの巨匠たちとの空想企画会議を収録した『超企画会議』などがある。