日銀の黒田総裁の登場と共に実施された「異次元緩和」が4年目を迎えた

 当初2年で2%の物価上昇を目指すと高らかに宣言したものの、その達成は3年経っても見通せない。今年2月には、従来の量的緩和に加えてマイナス金利の導入を行なったが、市場は消化しきれずにいる状態だ。

 しかし、単に物価上昇を実現するだけであれば、実は非常に簡単な方法がある。ただし、それは極めて危険な道でもある。

力不足だった日銀の異次元緩和
GDPの成長率も低迷

◆図表1:国債の保有者内訳(2015年12月時点)

出所:日銀HP
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 日銀は2013年4月、長期国債を年間約50兆円買い入れることを軸とする大規模な金融緩和に踏み出した。その規模は2014年10月に80兆円に増額されており、今や日銀の国債購入額は331兆円となり、国債全体の32%もの残高に達している(図表1)。

◆図表2:物価上昇率推移

出所:総務省HP

 しかし、当初「2年で2%」としていた物価目標の達成は4年目を迎える現在も視界不良であり、食料とエネルギー価格を調整したベースでさえ1%程度に留まる(図表2)。

◆図表3:経済成長率推移

出所:時事ドットコムニュース

 そして、GDPの成長率もこの1年間は低迷を続けている(図表3)。14年4月の消費増税が原因だとする説があるが、それから時間が経ってもなお消費が低迷していることから、消費増税だけにその原因があるとは言えまい。

 要するに、日銀の金融緩和だけでは景気を浮揚させることは困難であり、したがって物価の上昇も限定的だったことがわかる。

 そして年初来の世界市場の動揺もあり、日銀は2月にマイナス金利政策を導入したが、マイナス金利政策は国債を買い入れる量的緩和政策との相性が悪く、また、国民の間で評価が分かれる結果となっている(連載第66回)。