イエスマン量産システムが
「学歴病」を蔓延させる背景

連載12回で、労働組合・東京管理職ユニオンの設楽清嗣氏も述べていたことだが、「イエスマン量産」は「社畜」的な人材をつくる教育とも言える。この教育の結果、連載11回で取り上げたような、「学歴」で身のほどをわきまえ、人生に線引きをする若者が生まれる。

 さらに連載13回 の「学歴との向き合い方で人生の明暗が分かれていく20代の若者」も、実は「イエスマン量産」の教育と深い関係がある。

 こうした教育が浸透すると、企業の採用にも影響を及ぼす。たとえば、新卒採用のときに、「学校で何をしてきたか」「何ができるのか」に重きを置いた採用にはなりにくい。むしろ、卒業した学校で学生を判断する傾向が根強い。

 大企業では、入学難易度で大学をいくつかのグループに分けて、それぞれの採用者数を決める。そして合否を決めていく。とりあえずは、潜在的な能力があると思える学生を選び、入社後一定の期間をかけてセレクトしていく。

 人気のあるベンチャー企業も、これに似ている。連載第3回14回でベンチャー企業の新卒採用の実態を取り上げたが、大企業の採用方法や考えと重なり合うものが多い。このような採用を続けると、やがて長期安定雇用となり、年功序列のベースと言える職能資格制度や企業内労組などがつくられていく。

 事実、人気のあるベンチャー企業の中で、上位30位以内に入る会社を取材すると、比較的長期にわたる安定雇用が行われている。職能資格制度に近いシステムにもなっている。連載第10回で取り上げた「キラキラ女子」が生まれるの背景にもそれがある。つまり、人気のあるベンチャー企業の人事システムは成長に伴い、大企業のそれと似てくるのだ。売上規模で言えば、企業が30~50億円前後まで成長したタイミングだろう。これでは、新卒や中途の採用試験などで多くのエントリーを獲得することは難しい。差別化の1つとして、「キラキラ女子」なる女性社員を広告塔として前面に押し出した採用プロモーションをすることになる。

 こうしたケースを見ていくと、「イエスマン量産」につながる教育は強力であり、「学歴病」の人が増え続けるのも無理はないと思う。「自分はこの仕事で生きていく」という、職業意識がなかなか芽生えない。就職ではなく就社意識の高い学生が多数を占めるのも、このあたりに理由がある。

連載第14回の後半で、一流大学を卒業しながら、実力を新卒時の労働市場で立証することができなかった人について書いた。この人たちの一部が、不本意な会社に入り、一流大卒に見合わない実績しか残せないようになるのも「イエスマン量産」教育の影響だと筆者は思う。