子どもに見えない場所は意外と多い

 一度、お子さんの目の高さに自分の目をそろえ、まわりを見渡してみてください。

子どもに見えない場所は意外と多いものだとわかるでしょう。

お母さん! ぜひ膝立ちして歩いて、あちこちを見てください

 視野が違うと、歩きにくいだけでなく、ものの形がまるっきり違うものもあるのに気づくでしょう。

 たとえば、テレビの目の前に寝ころび、上目づかいでテレビを見てください。
 見慣れたタレントの顔ならわかりますが、見たこともない科学の実験や図形の解説などは、何のことだかさっぱりわかりません。起き上がってしっかり見ないと、わからないのです。

 幼児の視野に入るものがどんなものかわかりましたか?

 幼児は、電気のコンセント、机の脚、椅子のキャスターなど、低い場所にあるもの全体をしっかりと、とらえています。

 くずかごに興味を持つのも、無理のないことです。

お子さんと目の高さを合わせ、視界を知って会話をするようにすれば、コミュニケーションもうまくとれるようになってくるのです。

≪競博士のひと言≫
 子どもと話すときは、向かい合って目と目を合わせます。
とにかく目線を合わせることが大事です。
 子どもが何か話しかけたら、目線を合わせて聞いてあげ、わかったことを話し、わかった表情をしてみます。
 そうすることで、子どもはわかってもらったことを、言葉と表情で理解します。
 子どもに話しかけるときも同様に、子どもの顔を見て、目線を合わせて話しかけ、返事が必要な話の内容に持っていきます。
 すると、子どもは「わかった」と答え、表情で表します。
 お母さんは、表情から子どもの意志を読みとらなければなりません。
 この意志を読みとる働きをしているのは、脳の前頭前野です。
 前頭前野は、見るものに注意を向け、どのように行動するかを決めるだけではなく、運動前野の鏡神経細胞(ミラーニューロン)を働かせ、行動がうまくできるようにしてくれるのです。

久保田カヨ子(Kayoko Kubota)
1932年、大阪生まれ。
脳科学の権威である京都大学名誉教授・久保田競氏の妻で2人の息子の母。約30年前に、日本における伝統的な母子相伝の育児法を見直しながら、自身がアメリカ在住時と日本で実践してきた出産・育児経験をもとに、夫・競氏の脳科学理論に裏づけされた、“0歳から働きかける”久保田式育児法〈クボタメソッド〉を確立。この20年で3000人以上の赤ちゃんの脳を活性化させてきた。テレビなどで「脳科学おばあちゃん」として有名。累計36万部突破のシリーズ『0歳からみるみる賢くなる55の心得』『カヨ子ばあちゃん73の言葉』『カヨ子ばあちゃんの男の子の育て方』『カヨ子ばあちゃんのうちの子さえ賢ければいいんです。』『赤ちゃん教育──頭のいい子は歩くまでに決まる』『カヨ子ばあちゃんの子育て日めくり』などベスト&ロングセラー多数。ズバッとした物言いのなかに、温かく頼りがいのあるアドバイスが好評。
【脳研工房HP】
http://www.umanma.co.jp/

 

久保田 競(Kisou Kubota)
京都大学名誉教授、医学博士。世界で最も権威がある脳の学会「米国神経科学会」で行った研究発表は、日本人最多の100点以上にのぼり、現代日本において「脳、特に前頭前野の構造・機能」研究の権威。2011年、瑞宝中綬章受章。1932年、大阪生まれ。
朝4時半起きで仕事をする「朝活」を50年以上実践。ジョギングは30年以上、毎日続けている。著書に、『新版 赤ちゃんの脳を育む本』『2~3才からの脳を育む本』『天才脳をつくる0歳教育』『天才脳を育てる1歳教育』『天才脳を伸ばす2歳教育』『天才脳をきたえる3・4・5歳教育』(以上、大和書房)、『あなたの脳が9割変わる! 超「朝活」法』(ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。