これを受けて当時の益子三菱自社長は、「合弁の軽自動車生産は、三菱自の水島製作所で行うのが基本的な考え方」と、ゴーン社長の発言を否定。また三菱自サイドから、「日産が合弁開発の軽自動車を自社生産すれば、1台あたりいくらの特許料を支払わなければならなくなるはず」との声も上がり、軽自動車生産を巡って両社の不協和音が表面化した経緯もあった。

 ともあれ、両社の軽自動車の協業は、日本国内の自動車市場の約4割を軽自動車が占めるなかで、共に軽自動車販売比率が高まった結果、一方は「何とか自社工場生産に踏み切りたい」、もう一方は「自社生産を守りたい」という思惑を抱えていることは確かだった。

次期型軽自動車の基本合意に見る
関係各社トップの微妙な空気感

 その後、昨年の2015年10月、両社とNMKV3社により「次期型軽自動車の企画・開発で基本合意した」ことを発表。それには設計開発、実験など実際の開発業務について三菱自が日産もより深く関わること、軽EVの企画・開発にも取り組んでいることなどが挙げられた。その際、それぞれのトップは次のように語っている。

「次期型軽自動車から日産が開発業務により深く関わることで、すでに登録車に採用している安全・環境などの先進技術を、軽自動車領域まで容易に適用拡大することができる」(西川廣人・日産CCO)

「三菱自にとって軽自動車は国内販売で過半数を占める重要セグメントであり、今後もNMKVを通して両社の強みを融合し、魅力ある商品を投入していく。また、現行モデルに続き次期型モデルも三菱自の水島製作所で生産する」(相川哲郎・三菱自工社長)

「新しいスキームは、これまでのNMKVの取り組みが一定の成果を上げ、協業がより深化することを意味する。三菱自の軽開発・生産のノウハウと日産の技術を融合し、プロジェクトをリードしていきたい」(日産出身の遠藤淳一・NMKV社長)

 この昨年10月における軽自動車の次期モデルへの基本合意を振り返ると、関係各社のトップにより、それぞれ微妙な問題提起が行われているように見える。それは日産が開発業務により深く関わることであり、三菱自は自社の水島工場での生産を何としても堅持していく、ということである。