3つのジェットコースターに乗りながら考えるべきこと
さて、まず図を見ながらこんな問題を考えてみてほしい。
上の図は日経225、株式M、株式Nの2010年1月から5年間の値動きを示したものだ。それぞれのボラティリティ(変動率の標準偏差:リスク)は次のとおり。
(1)日経225: 18.5%
(2)株式M: 24%
(3)株式N: 58%
日経225にすでに100万円を投資している場合、さらに100万円を投資するとすれば、日経225、M、Nのどれが最も魅力的だと言えるか?
イメージしやすくするため、株価の動きをジェットコースターのコースにたとえてみよう。
どの株式、どのポートフォリオにも一定のボラティリティがある。あるときいきなり急上昇するかもしれないし、または奈落の底まで下降し続けるかもしれない。つねに一定の期待リターンを上げながら、上下の動きを繰り返すエンドレスのレールをイメージしてみてほしい。
まず、1本目のコースは、マーケット・ポートフォリオとも言うべき日経225(日経平均株価)である。これは日本を代表する企業225社の株価平均値を加工したものだ。
2010年には1万円前後で停滞していたこのジェットコースターは、2013年あたりから急上昇を味わい、2015年には2万円台をつけた。この背景にあるのは、言うまでもなく、アベノミクスや日銀による異次元の金融緩和だ。
そして隣にもう1つ別のコースが並走している。これは個別銘柄Mの株価だ。株式Mもこの5年で倍以上の値をつけており、こちらのジェットコースターに乗っていた人も、かなりの急上昇を満喫できたはずだ。ボラティリティは日経225よりやや高いがほぼ同レベルと考えていいだろう。図を見れば一目瞭然だが、2つのジェットコースターは、ほぼ同様の動きをしている。日経225のジェットコースターに乗っている人から見れば、ジェットコースターMはほとんど動いていないように見えるだろう。
さて、ここで別の株式Nのジェットコースターに登場してもらおう。この5年を見たとき、株式Nのボラティリティは年率58%。つまり、日経225に比べ3倍も荒っぽい動きをするハイリスク銘柄だ。アップダウンを見ればわかるとおり、乗り心地はなかなか刺激に満ちたものであるに違いない。日経225のジェットコースターに乗りながら、株式Nのジェットコースターのほうを眺めると、そのアップダウンの激しさを実感することができるはずだ。この点は株式Mのときとは大きな違いである。