「みなしごハッチ」の罪。クマバチはとっても温厚なのに……

スズメバチと出合ったら? 刺激しないようにそっとその場を離れましょう。大声を出したり走ったりすれば、逆に襲われます。そして、住居地の近くなら、即、役所か専門業者に駆除方法を相談(*1)しましょう。

ミツバチと出合ったら? 基本的にはおとなしい蜂なので、そっと扱ってあげましょう。ただ万一、人が通るようなところに巣があるなら駆除が必要です。刺された毒に反応して、アナフィラキシーショックを起こす可能性があるので。

左からスズメバチ、ミツバチ、クマバチ

 では、クマバチ(クマンバチ、熊蜂)と出合ったら?

 大型の蜂ですがよほどのことがない限り、人を襲うことはありません(*3)。そもそもオスには刺すための針がありませんし、メスも手で捕まえようとでもしない限り、攻撃はしてきません。見かけたら、ジッと観察してみてください。黄色のモコモコジャケットが、かわいいですよ。

われわれがクマバチを怖がるのは、その大きさ故もありますが、アニメ『みなしごハッチ(*3)』の影響が大きいかもしれません。

 番組で、スズメバチはミツバチ王国を滅ぼした天敵として、クマバチは非道の限りを尽くす「夜盗」として描かれています。第32話「ひとりぼっちの熊王」で、「恐ろしい野盗熊蜂の熊王は、ハッチとの友情で己の罪を悔い、安らかに死んで行く」のです。

 子ども心に思いました。クマバチは怖いものだ(*4)、と。

被子植物の「花」の意味

 さて今回は、そのクマバチと「花」との関係のお話です。

昆虫がこの地球上に出現したのは4億年以上前。海中から地上に出た外骨格生物たちは、呼吸のための気門を開き、羽を付け、大いに発展して行きました。

 一方、「花」は被子植物の専売特許。その出現は1億5000万年前に過ぎません。恐竜誕生よりもずっと後です。「花」を中核とした花粉や蜜、果実といったその繁殖システムは、より広範囲かつ局所的な繁殖を可能にし、それまでの裸子植物(ソテツやマツ)を徐々に駆逐(*5)していきました。

「花」を持たず、花粉を風で撒き散らすだけの裸子植物は、集団的にしか生息できません。遠く離れた者同士での交配は、極めて難しいのです。

*1 原則、私有地内の巣の駆除は所有者の責任である。
*2 繁殖期にオスが寄ってくることがあるが、メスかどうかの確認のため(笑)
*3 初代は1970~71年、フジテレビ系で放映。全91回。ハッチの名は、フジテレビが8チャンネルだから、とか。
*4  ドイツの児童文学を原作とするアニメ『みつばちマーヤの冒険』(1975~)においても、ミツバチの国を攻撃するのはクマバチだった。
*5 出現は約2億9000万年前。現存は約750種のみ。