事業計画書といえば、何十枚にも及ぶ書類を作成しなければいけないと思われがちだが、そんなことはない。起業して資金を調達するための事業計画書はもっと簡素でいいのだ。日本政策金融公庫に26年間勤務し、5000人以上の創業融資に携わってきた上野光夫氏が、起業のための事業計画書のポイントを紹介する。
みんなが頭を抱える事業計画書
実はそんなに難しくない
多くの起業志望者は、いざ事業計画書を書く段階になって、頭を抱えてしまいます。
事業計画書の書き方で悩む原因の1つは、「複雑なものをつくらなければいけない」と思い込んでいることです。パワーポイントを使った画像が豊富で数十ページにも及ぶものをイメージするために、途中で挫折してしまいがちです。
実は、創業融資を受けるための事業計画書は、複雑な内容にしてはいけません。「用紙1枚」にまとめることが重要なのです。
創業融資を取り扱っている代表的な金融機関の日本政策金融公庫では、「創業計画書」はA3横の用紙1枚の様式です。注釈に「所定の記載枠に記載内容がおさまらない場合は別紙(様式適宜)をご作成ください」とありますが、1枚の用紙にまとめることが基本だと認識してください。
1枚だけとなると、記入スペースがとても狭いですから、無駄なことは一切書けません。あなたが考えているビジネスの内容を、ギュッと凝縮して表現すればいいのです。ですから、パワーポイントで何十枚ものスライドをつくるのと比べると、はるかに簡単にできます。
それでは、なぜ用紙1枚にまとめるのがいいのでしょうか?