自分の夢や志を実現するには「いつか起業を!」ではなく「いまから起業準備を!」のスイッチを入れることが肝心。上場準備コンサルタント・監査役としてユニクロ、アスクル、UBICなど多くの成長企業の躍進を支えてきた安本氏が、現場を知り尽くした立場から起業の秘訣を明かします。今回は、起業の成否を分ける「ビジネスモデルとビジネスプラン」についてです。
ビジネスモデルとビジネスプランに必要なもの
事業のタネを見つけたら、次はビジネスモデルの構築と、それに基づいたビジネスプランの作成に取りかかります。
ビジネスモデル作りは、タネを開花させ事業として成立・継続するための構成要素は何か、そこで行動するプレーヤーは誰か、彼らをどのような継続的な取引でつなぐか、を考えることがベースになります。それらが構築できれば、あとは図形でわかりやすく表現すればよいのです。
ビジネスプランは、そのビジネスモデルを実現するために、1年単位でお金に換算して行動を計画することです。その計画書には3種類あって、(1)スタート時の資金計画書(貸借対照表に近い)、(2)損益計算書(予算)、(3)お金の入出金を表す資金繰り予定表(予想キャッシュフロー計算書)としてまとめます。この3つがセットになっていないと本当のビジネスプランとはいえません。
(1)資金計画書…資金の源泉(自己資金と借入金)と資金使途(内装工事、敷金・保証金、当初の商品在庫、当座の運転資金)の両方を対比して表す。
(2)損益計算書(予算)…1年間の損益を予想し、予算として損益計算書を作る。
(3)資金繰り予定表(予想キャッシュフロー計算書)…予算に基づいて、1年間の資金繰り予定表を作る。
投資家などの他人に説明する場合には、エグゼクティブ・サマリー(商品やサービスの概要と独自性・新規性、高い収益性などについてのまとめ)、事業コンセプト(事業についての考え方や強み・弱みなどの特徴、収益性や成長性、市場や競合他社の状況)、経営計画(3年間の中期経営計画、1年間の短期経営計画、行動スケジュール)を含めてビジネスプランと呼ぶ場合が多いです。これは前述のビジネスプランよりも広い意味で使われています。