「憧れの自分を手に入れたい欲求」の台頭
~消費者の欲求変化に対応せよ~

 私はパワースポットブームに、消費者の欲求変化のトレンドを感じています。この欲求変化こそ、私達が見ておかなければならない大きなトレンドなのです。

 では、そのトレンドとは何か。それは、「憧れの自分を手に入れたい」、「なりたい自分になりたい」という欲求です。これからのマーケティングは、この消費者欲求の変化をきちんと取り入れなければ成功しないと私は考えています。

 拙著の『働き方で未来が変わる!!社員が誇れる会社をつくる』(秀和システム) でも述べていますが、世の中の時流は「モノからコトへ」と大きく動いています。その流れがここにきてさらに進化しているのです。

 私たちはモノがまだ少ない時代には「物欲」で消費をしてきました。洗濯機、車、テレビ、ステレオなど、「モノそのものを欲しい」というものです。

 そして次第に、「自分だけの〇〇が欲しい」という欲求に変化していきます。「自分だけのステレオが欲しい」、「自分だけのレコードが欲しい」、「自分だけのストーブが欲しい」など、まさに“モノ”が欲しかったわけです。

 1990年ごろまで、その代表格だったのがクルマです。クルマは1985~90年ごろの若者にとっては、なくてはならない必須アイテムでした。私も苦労して中古の車を手に入れて乗っていました。当時の私たちにとってクルマとは、「自由に移動できる自分だけの部屋」で、とにかく“最高のモノ”でした。最近の若者にとってクルマが興味の対象外になっていることが信じられないくらいです。

 こうしたモノを手に入れると次に欲しくなるのが、出かける「場所」です。このあたりから「モノからコトへ」と欲求が移っていきます。

「温泉に行きたい」「ディズニーランドに行きたい」「スキーに行きたい」など、モノではなく、「〇〇に行って、そこで何かを体験したい、経験したい」という欲求が強くなります。

 こうしたことを一通り経験すると次に何を求めるか。それが「知的欲求」、そして「憧れの自分を手に入れたい欲求」です。これは自己実現欲求と言ってもいいかもしれませんが、それよりも少し軽い感覚です。

 人はモノをすべて手に入れて、ある程度のことを体験するようになると、次には自分自身を磨く、自分の知性を磨くことにお金と時間を使うようになります。これが知的欲求です。だからこそエステや英会話、ジム、料理教室などが流行しているわけで、こうした欲求は決してなくならないものなのです。

 そして外面を磨き、見た目を綺麗にすると、次にでてくるのは内面を磨くという欲求です。パワースポットでツキやエネルギー、チカラを吸収したいという欲求は、目に見えない何か、よく分からないものを身体の内面から感じたいというニーズに他なりません。