「一生涯の安心」がうたい文句の
終身医療保険は、病気になっても
入院しても支払いが一生続く

さて、最近の医療保険の主流は「終身保障・保険料終身払い」。保険会社が「一生涯の保障が続く」ことを強調する商品である。

これは、安心感が高いように感じるかもしれないが、「保険料もずっと払い続ける」ということにもっと目を向けるべきだろう。

セミナーなどで、参加者に「医療保険に支払う保険料の予算はどれくらいですか?」と尋ねると、月5000〜1万円くらいは払ってもいいと答える人が多い。

たとえば40歳の人が、終身医療保険に月々5000円を支払うと、1年間で6万円、60歳の定年までに120万円、80歳まで支払うと240万円もの保険料がかかることになる。

もちろん、長生きすればさらに保険料は膨らむ。配偶者も同程度の保険に加入した場合、夫婦2人分でざっくり2倍として、40年間で480万円もの出費だ。こうして計算してみると、1ヵ月あたりわずか数千円の出費でも、数十年にわたる固定支出となれば総額は大きな負担になることがわかる。


ここまでの話を整理してみよう。「一生涯の安心」がうたい文句の終身医療保険だが、保険期間中に数百万円も支払って、先のケースなら受け取れる給付金は1入院60万円+手術給付金が5万〜20万円である。

「確実に払っていくお金(=支払う保険料)」と「入院して手術を受ければもらえるかもしれないお金」を冷静に比較すると、「医療保険は意外に頼りにならないな」と感じるのではないだろうか。

240万円保険料を支払ったとして、通院や外来では給付金はもらえない。入院も1回だけであれば完全に支払い額の方が多い。それであれば、自分で「医療費用の積み立て」でお金を貯めておくというやり方もある。そうやって自分で貯めたお金ならば、病気をしなかったときは自由に使えるのだ。