「老後は、なんとかなる」では生き残れないーーー消費税増税、社会保険の負担増、教育費の高騰などで貯金が少ない40代、50代。今の日本人の平均寿命83歳で、60歳定年から平均で23年もあるのをご存じだろうか。さらに「年金」の手取りがだんだん減ってきている現実がある。
ダイヤモンド・オンラインでも人気の連載「40代から備えたい 老後のお金クライシス」を書いている深田晶恵さんが、『定年までにやるべき「お金」のこと』という本を上梓。この内容をベースに、お金に不安がある人たちに役立つコンテンツを紹介していく。
年金生活者の手取り年収は
この16年で32万円も減っている
今の40〜50代は、老後の準備に対する意識をもっと高めていかなければならない。それは、これまでに見てきた要因のほかにも、老後の生活を圧迫する要因があるからだ。
前回では、「定年後の生活は、現役時代と比べて年収500万円以上のダウン」だという現実をお伝えした。現在年収700万円でも老後の年金収入は200万円台になってしまうからだ。そして、平均余命から逆算して、その生活が25年は続くと予想して生活設計をするべきだ、ということも書いた。
現在でも、年金暮らしをしている家庭は年に75万円の赤字であるが、そもそも、高齢者世帯の収支の悪化はここ数年に始まったことではない。
実は手取りの年金収入は、この16年で32万円も減っているのだ。
下の図は、年金収入が厚生年金と企業年金(退職金の分割受け取り)の合計で300万円ある人の手取り額を試算したグラフだ。手取り額は「額面の収入」から「社会保険料+所得税・住民税」を差し引いて計算する。1999年には、額面の年金収入が300万円あれば、手取り額は290万円だった。ところが2015年には、同じ年金収入でも手取り額は258万円になってしまった。
なぜこのような「ホラー」としか呼べない状況になっているのかというと、この間、年金生活者の税金や社会保険料負担がどんどん引き上げられてきたからだ。
1999年は国民健康保険料が10万円程度で、所得税と住民税はかからなかった。しかし2015年には国民健康保険料のほかに介護保険料の負担もあり、社会保険料は約29万円にもなる(国民健康保険料と介護保険料は自治体により保険料が異なる。試算は東京23区に住んでいる人のケース)。
所得税・住民税も約13万円かかる計算だ。
ほかにも増税が実施されている