三菱自動車が発端となった燃費不正問題が、スズキに飛び火した。5月18日、「国のルールを守っていなかったことに企業としておわび申し上げる」と鈴木修・スズキ会長(86歳)が深く頭を下げた。
2人の「修会長」の明暗は分かれた。あるスズキ幹部は、「鈴木会長の念頭には三菱自のことがあったはず。益子(修・三菱自会長)さんが最初の会見に出席しなかったことが批判を浴びて初動に失敗したからだ。そのため、トップ自ら率先して矢面に立つことを選んだのだろう」とおもんぱかる。
実際に、会見でのスズキ側の説明は、三菱自との違いをアピールすることに終始した。スズキは、2010年以降に販売した約210万台について、国の規定である「惰行法」とは一部異なる方法で燃費を測定していた。実走しなければならない試験を、タイヤやトランスミッションなど個別パーツごとに室内試験で測定した値を採用し、燃費を算出していた。
鈴木会長は、「燃費を良くしようと悪意でやったのならば問題だが、(試験を簡易にするなど)善意や無知でやったことならば、(制裁については)人情的に考えなくてはいかんだろう」と発言。同席したスズキ幹部らも燃費性能を高めるための“偽装”の意図は否定し、「結果的に燃費表示に問題はないのでお客さまに迷惑を掛けることはない」(鈴木会長)と強調した。